プレスリリース

2017年01月10日

BACKSTAGE REPORT - ユニクロが問い続ける「人はなぜ服を着るのか?」

服には様々な目的がある。
それを網羅してより上質な快適さを追求する LifeWearの「進行形の革命」

20170106_img2.jpg~「考える人」2017年冬号(新潮社)より転載~

 何を身に纏うか、なぜそれを着るか……服の選択は体裁だけの問題ではなく、心の持ちようやアイデンティティにまで深く関わっている。哲学者の鷲田清一さんは、フランスの批評家ロラン・バルトを引きながら、「ファッションは『〈わたし〉とはだれか?』という問いと戯れている」と記す(『ひとはなぜ服を着るのか』)。何を着るかは、その人の存在全体に関わることに他ならない。


それぞれの、LifeWearのある暮らし

「コーディネートは朝のリセットだと思っています」と語るのは、高橋愛さん。
「毎日、いろんな朝があって、いろんな気分があります。そして、朝のリセットは自分との対話でもある。落ち込んだときにはパッとした色の力で元気になりたいと思うし、それでも元気がでないときは無理をしない。ゆるーっとした、心地よいものを選べばいい。心地よさは肌触りだったり、自分を締め付けないものだったり、服に意識をとられないもの。
 コーディネートで大切にしているのは、『自分らしさ』。服飾関係の学校に通っていた頃は、みんなと張り合うようにめちゃめちゃな格好もしましたが、大人になってからは元々好きなベーシックで自分らしい服を選んでいます。自分らしいというのは、・なりたい自分・ではなく、蓄積してきた何かをもつ・今の自分・」
「服のスイッチがある」と言うのは、春山未佳さん。「今日はなんだかスイッチが入らないなと思ったら、ちょっときっちりした服を着る。お化粧もきっちりする。あるいは、白いものを着て汚しちゃいけないという緊張感を持つ」。そんな服の使い方をするという。ただ、ふだんは、服の汚れを気にして神経質になったりせず、穏やかな母親でいたいと思うから、手頃な価格の丈夫でシンプルな服を身につける。
「服は生活のエッセンス、大切な要素です」と語るのは、玉村麻衣子さん。
「シーンにあわせて服を選ぶことで生活はもっと楽しくなる。たとえば銀座に行くなら黒でシックに大人っぽくとか、横浜で夫とデートならボーダーとデニム、女子会なら流行の色を選ぼうとか、シーンにあわせることで、デートや女子会がそれ以上のものになる。何気ない毎日の・イベント感・が強くなると言ってもいいかもしれません」
 玉村さんは、持っている服の七割くらいがユニクロ製品だという。デザインと質が良いうえに、価格が手頃なため、ふだんは身につけない色にも挑戦できる楽しさがある。ベビー服もユニクロで買いそろえた。デザインがシンプルなので、親子おそろいで着られる日が楽しみだと微笑む。
 こうした・日常の美しさ・を支えるユニクロのLifeWearは、人々の生活をより良く(よりシンプルに、涼しく、暖かく、軽く、柔らかく、より快適に)することを目的に作られてきた。LifeWearとは何かを考える前に、もう少し、人はなぜ服を着るかを考えてみたい。

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答えはひとつではない

20170106_model2.jpg「服には様々な目的があり、それは個人個人で大きく異なります」。そう語るのはユニクロを運営するファーストリテイリングで全世界のクリエイティブを統括するジョン・C・ジェイ氏。世界的に知られる米クリエイティブエージェンシー、ワイデン+ケネディのパートナーとして広告業界で活躍し、米デザイン専門誌が選ぶ「この五十年で最も影響力のあるアート・ディレクター」トップ10入りした人物だ。二〇一五年一月から現職にある。ジェイ氏は言う。「人々の暮らしにおける、あらゆる目的や理由のすべてを私たちは尊重しています。だから、『なぜ服を着るのか?』という問いへの答えはひとつではないのです。ただ、暮らしがあるから私たちはLifeWearを作る。それは、はっきりしています」。
 たしかに、身体を保護するという基本的な必要性から、生活を快適にする、あるいは帰属を明確にして一体感を生む、など服には様々な目的がある。
 必需品としての服の価値を誰よりも感じるのは、体を守るにも十分な衣類がない生活を経験したことのある人だろう。たとえば難民生活を送った人。ハーウ・カン・ブンさんは、マレーシアを経て第三国定住で二〇一五年九月、日本にやって来たミャンマー難民。暑い国から秋の日本に到着してすぐ防寒着を手に入れたときの安心感をよく覚えている。難民支援を行う難民事業本部(RHQ支援センター)による「買い物体験」として、ユニクロの店舗で下着やジャケット、ズボン、帽子、手袋など越冬用衣服一式を選んだときのことだ。
「マレーシアから持ってきた服は洗濯するとなかなか乾かなかった。ユニクロの服は軽くて暖かくて、洗ってもすぐに乾く。体が暖かいだけでなく、心までホカホカになりました。安心して暮らせる国に来たことを実感できました。子どもたちも日本が大好きです」と語る。「故郷のチン州では両親が果樹園で働いていて、ミカンやリンゴを売りに町に行ったときだけ服を買ってもらえた。特別なことでした。日本に来てからは自分が働いたお金で好きな服を買えるのが本当にうれしい。自由を感じます」とも。
 着るものひとつで生活の快適度が大きくあがることは、誰しも日々の暮らしの中で体験する。香川県の豊島に暮らす山口幸子さんは、ウルトラライトダウンのベストが生活を変えてくれた経験をこう語る。「毎朝五時前に起きてご飯を作るので、暖かいダウンは助かります。料理をするときに袖が濡れる心配をしなくて済むのも、とてもいい!」。
 夏に買ったエアリズムも、最初は化繊の服を着ることに抵抗感があったけれど、着てみると暑い日の畑仕事でも汗がべとつかず、長年の悩みが解消されたという。「作業が楽になって、外で仕事をする時間が増えました」。
 宮本さゆみさんは、冷え性のためヒートテックが手放せない。夏以外は下着としてずっと使っているという。「もしもヒートテックがなかったら、私の人生は、寒い」と真剣な目で語る。
 ヒートテックをユニクロと共同開発した東レによると、十年ほど前の日本の一般的な防寒ルック(セーター、コート、ジーンズなど)と、二〇一二年のユニクロの防寒ルック(ウルトラライトダウン、ヒートテックシャツ、ヒートテックジーンズ)を比べると、重さは約三分の一になっているという。LifeWearは確実に暮らしを快適にしてきた。
 もうひとつ、服の役割として忘れてはならないのが、同じものを着ることがもたらす一体感。ユニクロは、知的障がいのある人たちのスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス」に、二〇〇二年からスペシャルオリンピックス日本のオフィシャルパートナーとして、国内外の大会におけるユニフォームの寄贈を行ってきた。同じ服を着ることは、選手やボランティアたちの心と心をつなぐ。スペシャルオリンピックス日本事務局の宍戸咲季子さんは語る。「おそろいのウエアを手にした瞬間、ボランティアさんはアスリートを応援する気持ちがひとつになります。そしてユニフォームに袖を通すと、アスリートたちからは不安よりも『さあ準備は出来た、頑張ろう!』と、やる気に満ちた表情が溢れます」。

LifeWearとは進行形の服の革命

20170106_img3.jpg こうした様々な服の役割や目的を包括して、「生活をより良くする」ユニクロのLifeWearとは何か、改めてジェイ氏に説明してもらった。
「私たちは使い捨ての服に興味はありません。私たちはファストファッションではないし、流行の奴隷ではない。ただ、スタイルが個々の精神や自己表現の重要な一部であることは理解しています。要するに、LifeWearとは、暮らす場所や、年齢、性別を問わずすべての人々のニーズを満たすための、進行形の服の革命です。ひとりひとりのお客様にとっての完璧を目指す、果てなき追求なのです」
 ユニクロのCMでお馴染みの質問をジェイ氏に投げかけてみた。
 あなたはなぜ服を着るのですか?
「私の服装にはいくつもの理由があります。服とは、私の生い立ちからクリエイティブの世界におけるキャリアを通じて、様々な意味を持つものです。私は中国系移民の子として、六歳まで英語をしゃべることも知らず、アメリカ中西部の小さな町で育ちました。服を買う金はなかったので、学校に入るときは母が全部縫ってくれました。
 両親は大学教育の恩恵を受けることがありませんでしたが、私は二人から夢見ることの力を学びました。雑誌が目の前に広げてくれる新たな世界に夢中になった私は、『エスクァイア』や『GQ』の編集者たちに毎号、批評や企画を書いた手紙を送っていました。求められてもいないのに。すると驚いたことに、大学時代、『GQ』から編集者のアシスタントをやらないかと誘われたのです。大学を辞めるわけにいかなかったので辞退しましたが、このことは長い間私の心に残り、大切なことを教えてくれました。夢は大きく持たなければいけない。なぜなら望みはきっと叶うのだから。
 いまでは世界のトップデザイナーや伝説的ファッションカメラマン、スーパーモデルと共に仕事をするようになりましたが、その過程で、真のファッションの歴史とその文化的影響、あるいは服が持つ意味について学んできました。別の言い方をすれば、『服』こそが私の人生を変えたのです。そして、服があるから、より大きな夢を見ることができるのです」
 あなたは、なぜ服を着るのですか?

ユニクロは LifeWearという世界唯一の新しいカテゴリーの服を追求し続けています。
LifeWearとは、高品質で着心地が良く、ファッション性のある
ベーシックウエアであり、誰もが手の届く価格の日常着です。

「考える人」2017年冬号
菅野健児・撮影(*印を除く)、編集部・文
詳しくは、新潮社のホームページをご覧下さい。