2021年08月30日
9月1日は「防災の日」
災害時の備え、準備されていないもののひとつは服でした
被災経験者や自治体、有識者の声を元に作成した「服の備えチェックリスト」を公開
ユニクロはこのたび、全国の一般生活者と市区町村に対してそれぞれ行った「災害時の備え」に関する調査の結果を受け、避難時に必要な服の用意に役立つ「服の備えチェックリスト」を、本日8月30日(月)よりユニクロのサステナビリティウェブサイトにて公開します。また、9月1日(水)「防災の日」には、自らも一般社団法人Think The DAY を立ち上げ、災害支援活動を行っているモデル・タレントの紗栄子さんや、防災システム研究所 所長の山村武彦先生と、災害時に必要な「服の備え」を考えるラジオ番組、TOKYO FM×ユニクロ 「防災の日 特別番組 ~考えよう、服の備え~」を放送します。
今回、一般生活者の調査では、避難経験者の4人にひとりが「避難時に足りなかった・あったら良かった物」として「服の備え」を回答しているのに対し、実際に災害時の避難のため「服の備え」を行っている人はわずか14.7%でした。また、全国の市区町村における「災害時の備え」に関する調査結果から、8割以上の自治体で避難時の「服の備え」がされていない実態が分かりました。その理由として、食料・飲料品、新型コロナウイルス感染症対策品を優先的に備蓄しているため、衣類の備蓄ができていないという意見が多くあげられています。
これまでも、ユニクロは全国47都道府県800店超の店舗ネットワークを活かし、緊急災害時に服を通じた支援を行ってきました。近年、大きな災害が増加傾向にあるなか、災害発生後の支援のみならず、日ごろの備えにつながる情報を発信することも重要だと考えました。そこで、防災への意識が高まる「防災の日」にあわせ、お客様に活用いただける「服の備えチェックリスト」を公開することといたしました。また、全国の自治体と災害時における物資供給等の協力に関する協定を順次締結し、自治体での「服の備え」を支援する取り組みを推進しています。
本日より公開!避難時に必要な服の用意に役立つ「服の備えチェックリスト」
ユニクロのサステナビリティウェブサイトにて本日8月30日(月)公開。自治体や被災経験者のアンケート結果を踏まえ、災害時の備えを行う際に活用いただけるよう、有識者とともに、避難時に必要な服の一覧をチェックリストにまとめました。
チェックリストが確認できる「緊急災害への服の備え」ページはこちら。
これまでの緊急災害支援の取り組み詳細はこちら。
その他ユニクロのサステナビリティの取り組み詳細はこちらをご覧ください。
「防災の日」に「防災の日 特別番組 ~考えよう、服の備え~」をTOKYO FMにて放送
9月1日(水)「防災の日」には、自らも一般社団法人Think The DAY を立ち上げ、災害支援活動を行っているモデル・タレントの紗栄子さんや、防災システム研究所 所長の山村武彦先生をゲストに迎え、「防災の日 特別番組 ~考えよう、服の備え~」をTOKYO FMにて放送します。番組では、それぞれの被災地支援の経験をもとに、災害時に必要な「服の備え」について考えます。
<番組概要>
番組名 :TOKYO FM×ユニクロ 「防災の日 特別番組 ~考えよう、服の備え~」
放送日時 :9月1日(水)20:30~21:00
出演者 :紗栄子さん、山村武彦先生(防災システム研究所 所長/防災・危機管理アドバイザー)
シェルバ英子(株式会社ファーストリテイリング)
一般生活者と全国市区町村への「災害時の備え」に関する調査
一般生活者に向けた調査として、全国の20代~60代男女2,400人を対象に、避難時に持ち出す物の備えや、実際に避難経験者が必要だと感じた備えについて調査を行い、日常における防災意識の実態を明らかにしました。また、災害発生時の避難所設置・運営や被災者支援を直接的に担う全国の市区町村に対しては、衣類の備蓄に関するヒアリングを行い、全国市区町村における住民の避難時の「服の備え」について調査いたしました。
※調査結果の詳細については参考資料をご確認ください
■ 過去の災害支援の取り組みについて
ユニクロは、過去20年にわたって、国内外で発生する緊急災害に対して、店舗ネットワークを活かした衣料品や寄付金による支援、被災地でのボランティア活動を行っています。
<活動履歴>
2001年2月 インド西部大地震への緊急支援
2001年12月 アフガニスタン難民への支援
2002年11月 ペルー大寒波への緊急支援
2004年2月 イラン大地震への緊急支援
2004年7月 新潟豪雨への緊急支援
2004年10月 新潟中越地震への緊急支援
2005年1月 インドネシア・スマトラ沖地震への緊急支援
2005年10月 パキスタン北部地震への緊急支援
2006年7月 ジャワ島中部地震への緊急支援
2008年1月 バングラデシュで発生したサイクロンの被災地への緊急支援
2008年5月 四川大地震への緊急支援
2008年5月 ミャンマーサイクロン「ナルギス」への緊急支援
2009年9月 スマトラ沖地震・フィリピン台風・西サモア地震被災地への緊急支援
2010年1月 ハイチ大地震への緊急支援
2011年~2014年 東日本大震災復興支援活動
2011年3月 東日本大震災への緊急支援
2011年9月 ソマリア飢餓への支援
2011年11月 タイで発生した洪水被害への緊急支援
2012年8月 フィリピン大雨被害への緊急支援
2012年12月 米国東部ハリケーン「サンディ」被害への緊急支援
2013年4月 中国・四川省で発生した大地震への緊急支援
2013年11月 フィリピンで発生した台風30号被害への緊急支援
2014年5月 セルビアで発生した洪水被害への緊急支援
2014年11月 西アフリカ諸国におけるエボラ出血熱感染拡大への支援
2015年4月 ネパールでの地震被害への緊急支援
2015年9月 台風18号の被害への緊急支援
2016年4月 平成28年熊本地震の被害への緊急支援
2018年7月 西日本豪雨の被害への緊急支援
2018年9月 平成30年北海道胆振東部地震の被害への支援
2019年10月 台風19号被害への緊急支援
2020年7月 九州豪雨被害への緊急支援
2020年11月 フィリピンにおける台風19号、22号への緊急支援
2021年2月 インドネシアでのカリマンタン島洪水被災者への支援
2021年7月 中国 河南省での洪水被害者への支援
2021年8月 静岡県熱海市(伊豆山地区)土砂災害の被災者への支援
【参考資料】
「災害時の備え」に関する実態調査
災害時の避難のため「服の備え」を行っている人はわずか14.7%
8割以上の自治体は「衣類の備蓄をしていない」
全国の20代~60代男女2,400人を対象に、「災害時の備え」に関する調査を実施。その結果、86.2%の人がなんらかのきっかけがあった時も含め、日頃から防災を意識していることが分かりました。一方、災害時の避難のため「服の備え」を行っている人はわずか14.7%でした。また、避難経験者の4人にひとり以上が「避難時に足りなかった・あったら良かったもの」として“衣類”をあげました。
さらに、災害発生時の避難所設置・運営や被災者支援を直接的に担う全国の市区町村に衣類の備蓄について聞いたところ、回答のあった927の自治体のうち、マスクを除く衣類の備蓄を行っているのは2割以下の18.2%に留まりました。
これらの結果から、生活者の防災の意識は高い一方で、個人および自治体ともに避難時に必要とされる「服の備え」は十分とは言えない状況であることが分かりました。
高崎健康福祉大学教授 内田幸子先生は、「地震や台風、集中豪雨など災害に見舞われ避難しなくてはならなくなった時のために、防災グッズに「服の備え」を加えましょう。服は避難時に緊急に必要とされる生活必需物資であるにもかかわらず、全国の市区町村においては備蓄用衣類の検討は、十分にされているとはいえません。避難所においては、支援物資の衣類が到着するまでの目安として3日分の着替えが必要となります。また気候・季節の変化や寒さ、暑さに対応できる服の準備が大切です」とコメントしました。
■調査概要
【生活者向け】
・調査主体:株式会社ファーストリテイリング
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2021年2月19日~2月24日
・調査対象:20代~60代男女 2,400名(うち、避難経験者394名)
・割付方法:年代・性別で均等割付後、日本の8エリア(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、
九州・沖縄)ごとの人口構成比(引用元「平成27年国勢調査(総務省統計局)」)に合わせて
ウェイトバック集計を実施
【自治体向け】
・調査主体:株式会社ファーストリテイリング
・調査方法:書面によるアンケート調査
・調査期間:2021年7月2日~7月16日
・調査対象:全国1,736市区町村の防災担当者宛てに書面にてアンケートを送付し、
回答を得た927の市区町村について集計
■調査結果
1. 日常の防災への意識、なんらかのきっかけがあったときを含めて86.2%の人が「意識している」。
防災への意識について調査したところ、「常に意識している」11.6%、「たまに意識する」35.4%を合わせると、日常的に防災を意識している人が約半数の47.0%となりました。また「災害が起きる時期・季節になったら意識する」13.4%、「災害が起きた/起きそうな報道・情報があれば意識する」25.8%となり、なんらかのきっかけにより防災を意識する人が約4割であることが明らかになりました。これらを合わせると、防災に対し86.2%の人が「意識している」と考えられます(図1)。
2. 67.0%が何らかの災害への備えを実施。約3割の人が「避難時に持ち出す物」を準備。
災害への備えについて、67.0%の人が何らかの備えを実施しており、実施していることとして最も多かったのが「保存食の準備」で44.3%、次いで「避難場所の確認」41.9%となりました。「避難時に持ち出す物の備え(防災バック等)」と回答したのは約3割に当たる29.5%でした(図2)。
3. 避難時に持ち出す物、懐中電灯や食料・水が約8割。マスクを除く衣類は3割程度。
防災として実施していることとして、「避難時に持ち出す物の備え」と回答した人のうち、具体的に備えているものとしては「懐中電灯」が80.3%で最も多く、次いで「非常食」76.8%、「飲料水」76.1%となりました。一方、「着替え」はわずか25.4%、同様に「下着」31.9%、「防寒着」28.8%と、避難時に持ち出す物としてマスクを除く衣類に関しては3割程度に留まることがわかりました(図3)。
4. 災害時の「服の備え」、実際に「備えている」のはわずか14.7%、7割以上は考えた事もない。
災害時における「服の備え」について考えたことがある人は29.4%である一方で、実際に「服の備え」を実施している人はわずか14.7%に留まりました(図4)。約3割の人が「服の備え」に対する意識はありつつも、実際に行動している人はその半数程度で、両者にギャップがあることが明らかになりました。
5. 避難経験者の「避難時に足りなかった・あったら良かった物」、4人に1人以上が「服の備え」と回答。
過去に避難経験のある方に、防災バック等の「避難時に持ち出す物の備え」として、「足りなかった・あったら良かった」と思う物について伺ったところ、「非常食」が53.2%で最多となり、次いで「飲料水」49.1%と「食料・水の備え」がそれぞれ約5割にのぼりました。また「下着」28.6%、「着替え」26.8%、「防寒着」26.1%と避難経験者の4人にひとり以上が「服の備え」が必要であったと考えていることが分かりました。これは、避難時の備えとして最も多かった「懐中電灯」や、同様に6割が備えている「救急セット」と同レベルの割合と言えます。
全国の全ての市区町村に衣類の備蓄に関して調査協力をお願いしたところ、回答いただけた927の自治体のうち、災害が発生した際の住民の避難を想定して、マスクを除く衣類の備蓄をしている自治体は2割以下の18.2%に留まりました(図6)。したがって、8割以上の自治体では住民の避難時の「服の備え」がまだ実施されていないことが明らかになりました。
■専門家コメント
~内田幸子先生に聞く、避難時に必要となる「服の備え」とは?~
・避難時には3日分の服の備えが必要
地震や台風、集中豪雨など災害に見舞われ避難しなくてはならなくなった時のために、防災グッズに「服の備え」を加えましょう。
衣類は被災時に緊急に必要とされる生活必需物資であるにもかかわらず、自治体では食料、毛布等は準備されていますが、備蓄用衣類の検討は、十分になされているとはいえません。災害に備えて、自分にあった衣類を用意しておくと安心です。軍手、頭部を守る防災頭巾や帽子、履きなれた底の厚い運動靴も役に立ちます。
避難所においては、支援物資の衣類が到着するまで3日程度かかるといわれています。少なくとも3日分の下着セットと、靴下、マスク、動きやすい上着セット(スウェット上下など)を準備しておきましょう。加えて、外出時に羽織れるアウター、避難所内で使えるルームシューズがあると便利です。衣類はかさばるので、軽量・コンパクトに収納できるものを選ぶと良いと思います。
・防水性のある服で雨風対策を
災害はいつどこで起きるかわかりません。雨や風を防ぐために、ウィンドブレーカーやレインウエアのような防水性のある衣類で雨風や寒さを防ぐ対策が必要となります。
・寒い時期の避難には重ね着や保温性の高いダウンジャケットが有効
寒い時期の避難生活で最も注意しなくてはならないのは体温の保持です。着替えがなく、濡れた服は体温を奪うため危険で、低体温症への注意が必要です。乾いた衣類に着替えて毛布などにくるまって体温を保つことが重要です。
寒さ対策の着方としては、衿元、袖口、裾などの開口部を閉じて、重ね着をすることで、からだの表面の温かい空気を逃がさない工夫が大切です。また、保温性を高めるに、静止した空気を多く含むダウンジャケットや中綿ジャケットなどの着用が効果的です。
・暑い時の避難には汗をかいても早く乾く吸水速乾素材の服が有効
暑い時は、汗をかいても早く乾く吸水速乾素材の服を着用することで、蒸れなどの不快感を軽減させ、服に残った汗による冷えを防ぐことができます。
また、暑さ対策として、衿元、袖口、裾の開口部を開け適度なゆとりを設けて、服の中に風を通して熱を逃がす工夫が大切です。
・避難所(自治体)で用意可能な 「服の備え」について
1955阪神淡路大震災、2003新潟中越地震の時に段ボールで送られてきた支援物資の中には衣類もかなりありましたが、衣類を分けて分配するという作業が難しく80%以上が残りました。このことから、災害時の衣類は、アイテムやサイズが表示された規格パッケージの形で補給される方が良いのではないかと考えられるようになりました。
数日間を健康に過ごすための必要最低限の通年対応可能な「服の備え」を避難所に用意し、季節に応じて、寒冷時対応のパッケージ、暑熱時対応のパッケージを加えていくと良いと考えています。
■内田幸子先生 プロフィール
高崎健康福祉大学 高崎健康福祉大学 健康福祉学部 教授
文化女子大学大学院生活環境学研究科博士後期課程修了 博士(被服環境学)
1983年04月 - 1984年03月群馬女子短期大学 家政学科 専任講師
1995年04月 - 2002年03月群馬女子短期大学 生活学科 非常勤講師
2002年04月 - 2005年03月高崎健康福祉大学 短期大学部生活学科 助教授
2006年04月 - 2007年03月高崎健康福祉大学 短期大学部生活学科 教授
2014年04月 - 2020年03月共立女子大学 非常勤講師
2007年04月 - 現在 高崎健康福祉大学 健康福祉学部社会福祉学科 教授