ファイナルファンタジー35周年
2022.06.23

制作陣が語る、ファイナルファンタジー35周年PART2

ファイナルファンタジー35周年

35周年を迎えるロールプレイングゲームの金字塔『ファイナルファンタジー』。時を超えて進化を続ける『ファイナルファンタジー』の壮大な物語を、現在の制作陣が熱く語る。第二弾は『ファイナルファンタジー』シリーズの制作に携わっている間一朗さん、広野啓さん、そして吉田直樹さんのインタビューをお届けする。

ゲーム音楽から作品の魅力を伝える。

間一朗

『FF』については元々はプレイヤー側で、なかでも『FFVI』のオープニング映像に合わせてスタッフクレジットが流れる演出に、これはゲームの手法じゃない! エンターテインメントに対して垣根を作らずに、自分たちが楽しいと思うものを、限られた技術の中で作っているんだ、って、すごく感動した記憶があります。そんなとき、スクウェアに転職した先輩から「うちに来ない?」と、ご縁があって『FF』に関わることになりました。

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PROFILE

はざま・いちろう|1998年に入社後、ライセンス管理および事業開発を担当。『FFVII アドベントチルドレン』のアソシエイトプロデューサー、『ディシディア FF』のプロデューサーを経て、2012年に自身が企画した『シアトリズム ファイナルファンタジー』のプロデューサーに。

先輩からは「『FFVIII』のプロジェクトマネージャー的な仕事だよ」と言われていたんですが、まず「小道具を作る」という係を仰せつかりました。シリーズで初めてモーションキャプチャーを導入するので、役者が手にする武器が必要だと。何それ?と思いましたけど、めちゃくちゃ面白かったんですよ。舞台装置を作る美術さんやADの知人にいろいろ聞いて、ライフルの台座に短い竹刀をくくり付けて……。楽しかったですねえ。並行して、新設のマーチャンダイジング部も任されたのですが、玩具メーカーにいたとはいえ、僕は仕入れ担当で、おもちゃを作ってたわけじゃないんですよ(笑)。でもなんとかグッズを作って、飛び込みで営業をかけたり。それも面白かったなあ。他にも予約特典のアイテムなんかを作っていましたね。

ファイナルファンタジー35周年
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3機の魔導アーマーが炭坑都市ナルシェを目指し雪原を歩く『FFVI』のオープニング。BGMの「ティナのテーマ」とともに印象的なシーン。

そのあと映像作品『FFVII アドベントチルドレン』を担当したりなどあって、初めて企画書を書いて野村(哲也)に見せたのが『FF』の音楽を使ったリズムゲーム『シアトリズムFF』です。音楽にフォーカスしたものって、サントラ以外にないなと思ったんですよ。そこで映像を流して何かゲームをすればいいか……と甘い考えでいたら、野村に「(ゲームとして)もつわけないだろ!」ってツッコまれて(笑)。でもプロデューサーって、唯一、感覚的に話すことが許されている立場だと思うんです。「こういうことをお客さんに届けたい」とチームのメンバーに伝えて、それを形にしていく。今後も『FF』の重要なエッセンスであるキャラクターや音楽を生かして、ナンバリングタイトルに触れるきっかけになるようなゲームを作っていきたいですね。

ソーシャルゲームで未知の領域に挑む。

広野啓

就職を考えたとき、振り返ると多くのことをゲームから得てきたなと思ったんです。これまでの人生でいちばん長く続けてきた遊びがゲームだし、ゲームを通じてさまざまなことを体験し、学ばせてもらったなと。今度は自分が提供する側に立ちたいと考えて、ゲーム業界に入りました。最初の会社では、ソーシャルゲームとコンソールゲームの両方を手掛けてきました。スクウェア・エニックスは2社目です。オンラインカードバトルRPGの実写ドラマ化『実在性ミリオンアーサー』を担当したり、PCブラウザゲームの『インペリアル サガ』を作ったりして、2015年に『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』(以下FFBE)のプロデューサーになりました。

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PROFILE

ひろの・けい|執行役員。第四開発事業本部副本部長。ディビジョン1 ディビジョンディレクター。『FFBE』シリーズプロデューサー。2013年に入社後、2015年に『FFBE』を配信。現在までに全世界4500万DLを記録。2019年『WAR OF THE VISIONS FF ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争』を配信。

『FFBE』はモバイルゲームではありますが、『FF』であることに変わりはない。世界観や物語が心に刻まれる『FF』ならではの体験は、どんなデバイスだろうと一番に考えて設計しないといけないと思っています。僕自身、『FFX』のエンディングで涙がこみ上げてきたとき、「俺、泣いてる!」って衝撃だったんですよ。それまでゲームで感情が表に出ることはなかったので。その軸を大事にしつつ、FFBEでは物語の構成やマップの探索、映像的なチャレンジなど、モバイルでは誰もやれていなかった領域にチャレンジしながら、ひとつひとつのゲーム的要素にこだわりを持って作り上げていきました。直感的な手触りや爽快感、そして継続して遊んでもらえるような仕掛けなど、モバイルゲームのお作法は意識しています。そもそも無料で誰でもダウンロードできる“Free to-play”の場合、遊ぶ動機が薄いんです。お金を出せば一回は遊んでみようと思えますけど、インパクトを担保しないと続けて遊んでもらえない。そういったモバイルの特性を考慮しつつ、『FF』という社を代表する作品を扱うこともあり、開発はドタバタでしたが、なんとかリリースに漕ぎ着けることができました。プレイヤーの皆さんも喜んでくれて、ビジネスとしても成功したのでほっとしましたね。

うちの子どもたちはまだ小さいんですが、『FF』って言葉が出てこないのが寂しくて。もう少し大きくなったらプレイするかもしれませんが、僕が初めて『FFIV』をプレイしたのは小学3年生でしたし、よく「ファイファン」って言ってましたね。あの頃、熱中するあまり心底腹が立ったりしたようなこともあるのですが、振り返ってみるとそれだけ心を揺さぶられていたわけですよね。そうやって自分が子どもの頃にもらった感動は、次の世代にも刻みつけたい。いつか新しい層に向けて、『FF』の幅をグッと広げる挑戦をしたいです。プロデューサーは戦い続ける職業だと思っています。立ち止まっているとすぐダメになってしまうので今後も頑張ります。

ファイナルファンタジー35周年
ファイナルファンタジー35周年

大人気作『FFX』。幻想的なマカラーニャの森で召喚士ユウナと主人公ティーダは、その先に待つ運命を知りながらともに歩む決意をする。

オンラインもオフラインも意識しない。

吉田直樹

僕はオンラインゲームの『FFXIV』のディレクターをしているんですが、そもそも若い世代には『FF』自体を知らない人も多いと思うんです。「14かあ、1からやるの辛くない?」と思ってしまう人も少なくないはず。『FF』はタイトルごとに独立した物語が展開されていて、『FFXIV』も単体でプレイできます。特徴は、オンラインを通じて世界中の人とひとつの冒険世界を共有するゲームだということ。世界を救う英雄になりつつ、ほかのプレイヤーと一緒に暮らしていくことを目指して作っています。サービス開始から11年が経過しましたが、いつ参加してもすぐ追いつけるゲームデザインになっていて、今も世界中でプレイヤーが増え続けています。僕自身、初めてオンラインゲームをやってカルチャーショックを受けた人間なので、無料で遊ぶこともできますし、「世界を共有するってどういうこと?」と覗きに来てほしいですね。

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PROFILE

よしだ・なおき|取締役。開発担当執行役員。第三開発事業本部本部長。ハドソンで『ボンバーマン』などの開発に携わったのち、2005年に入社。2010年に『FFXIV』のプロデューサー兼ディレクターに。現在、最新ナンバリングタイトル『FFXVI』のプロデューサーを兼任。

今でこそ人気の『FFXIV』ですが、サービス開始時には“世紀の大失敗”と言われる大炎上を経験しました。ビジュアルを作り込み過ぎて重たいとか、イベント性が弱いとか、理由はさまざま。長い歴史がある『FF』をそのままにして次へ進めないという決断から、立て直しメンバーとして参加しました。期待が高かったがゆえにがっかりされたプレイヤーも多く、不満を抱えた状態でサービスが継続されている。根本的な作り直しを決めたときに思いついたのが、「一度世界を滅ぼそう!」でした。基本的に『FF』は世界の危機と戦う物語を提示しているし、一度終わって新生する世界はどうだろうと。壊れゆく星の危機と戦う、その体験ごとシナリオにする。『FFXIV』の“新生”を発表した際には、多くの方に励ましていただきもしました。プレイヤーの皆さん、ファンの皆さん、メディアの皆さん、そして我々チームが一丸となったからカムバックできたと思っています。

今は最新作『FFXVI』の開発が大詰めです。『FFXVI』はシングルプレイのゲームとして、よりストーリーとゲーム体験の一体化を目指しています。複数のプレイヤーを同時に描写したオンラインと違って、『FFXVI』は個にフォーカスするぶん物語の没入のさせ具合が変わってくる。かなり厚みのある話になっていると思います。大人になって社会を知って、「現実はゲームみたいに甘くないよね」と一度は『FF』から離れてしまった人たちに、当時の熱を思い出してもらえたら。そう思って作っています。

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最新作『FFXVI』。クリスタルの加護を受ける大地ヴァリスゼアを舞台に、主人公『クライヴ・ロズフィールド』の物語が展開する。

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