20th  UTアーカイブ
2022.07.15

復刻Tシャツからひもとく、“本物”の魅力【20th UT ARCHIVE vol.2 天才バカボン】

20th UTアーカイブ

これまで数えきれないほどの魅力的なグラフィックが、UTのアイテムを彩ってきた。20年を迎えた今年、その一部の柄を復刻するアーカイブプロジェクトが始動した。時代を超えて世界中の人々に愛されるそのモチーフたちには、どんな思いが宿っているのだろう? クリエイターや関係者の言葉を通して迫る。2回目に取り上げるのは、2008年のUTに登場したマンガ『天才バカボン』。作者である赤塚不二夫さんの娘であり、フジオ・プロダクション代表取締役社長も務める、現代美術家の赤塚りえ子さんに話を聞いた。

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“笑い“が持つ爆発的な生きるエネルギーを求めて。

Q.今回のTシャツでは、『天才バカボン』のキャラクターが使用されています。ズバリ、『天才バカボン』が時代を超えて愛される理由とは?

A.『天才バカボン』は、ときに想定外なまでに常識はずれで、しかもその非常識が当たり前のようにテンポよく進んでいく世界ですが、時代は変わっても共有できる普遍的な日常が舞台。どこをツッコみ、どこを面白がるかは、読者に任されています。読み方を強要しない自由さ、シンプルでわかりやすく、意味を求めないどころか意味を壊してしまうギャグの破壊力、バカを肯定する気持ちのイイ清々しさ……。いろいろな切り口で何度も楽しめる作品であるところが、時代を超えて愛される理由だと思います。

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Q.『天才バカボン』を含め、赤塚さんがキャラクターを描く上でこだわっていたことは?

A.赤塚は自分のマンガを幅広くみんなに楽しんでもらいたいと思っていました。だから、まだセリフが読めないような小さな子にも喜んでもらえるように、かわいくてポップで親しみやすいキャラクターを目指していたようです。また、赤塚は「オレは本当に嫌いなヤツがいないんだ。だからオレのキャラクターはどこかかわいいんだ」と語っていました。実際、『天才バカボン』を含む赤塚マンガには、特定の人を排除することもなく、人間の弱さ強さすべてを肯定し受け入れる姿勢が表れていると感じます。

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1967年4月9日発行の『週刊少年マガジン』で連載がスタートした時の扉絵。

Q.赤塚さんにとってギャグとは何だったと思いますか?

A.2008年に母を亡くし、その3日後に父・赤塚不二夫を亡くしました。深い悲しみの底に沈んでいたとき、祭壇に置いてあった赤塚マンガを何気なく手に取って読んでいました。すると、あまりにも意味がなくてくだらなくて面白くて。気が付くと声をあげて爆笑していました。そのとき感じたのは、悲しみの底をドンと蹴って浮上する熱いエネルギー。人はこんなときでも笑えるんだ! 「笑う」って最高に気持ちイイ! 爆発的な生きるエネルギーだ! と実感しました。赤塚がギャグに求めたものは、この“笑う”という行為が持つ爆発的な生きるエネルギーなのではないでしょうか。赤塚は幼少期から悲しい思いをたくさんしてきました。だからこそ、生きることに直結する「笑うこと」の大切さを知っていたのだと思います。

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『天才バカボン』の一コマ。

Q.では、赤塚さんにとってマンガとは何だったと思いますか?

A.赤塚は作品と私生活に境界線がなく、マンガのような人生を送りました。晩年はバカボンのパパのように自由でした。赤塚不二夫にとって、マンガとは彼の生き方そのものだったと思います。

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Q.赤塚さんが今回のUTを見たら、どんな感想を抱くと思いますか?

A.赤塚は自分のキャラクターがTシャツなどにデザインされることを喜んでいて、本人もそれをよく着ていました。特に自宅ではいつもTシャツ姿でしたから、今回もとても面白がって喜んで、いつも着ていたと思います。

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モロッコ サハラ砂漠で、赤塚不二夫のマンガ『おそ松くん』の登場人物イヤミが行うギャグ「シェー」のポーズをとる赤塚りえ子さん。

PROFILE

赤塚りえ子(あかつか・りえこ)|東京生まれ。アーティスト/株式会社フジオ・プロダクション代表。1994年渡英。2001年ロンドン大学ゴールドスミス校ファインアート科卒業。2002年よりロンドンのギャラリー、Danielle Arnaud所属。東京とロンドンを拠点として、創作活動を続けている。著書に「バカボンのパパよりバカなパパ」(幻冬舎文庫)がある。

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復刻Tシャツからひもとく、“本物”の魅力

【20th UT ARCHIVE vol.1 森山大道】
【20th UT ARCHIVE vol.2 天才バカボン】

©Fujio Akatsuka

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