これまで数えきれないほどの魅力的なグラフィックが、UTのアイテムを彩ってきた。20年を迎えた今年、その一部の柄を復刻するアーカイブプロジェクトが始動した。時代を超えて世界中の人々に愛されるそのモチーフたちには、どんな思いが宿っているのだろう? クリエイターや関係者の言葉を通して迫る。今回取り上げるのは、2009年のUTに登場したゲーム『パックマン』。世界中で愛されるこのアーケードゲームの金字塔について、バンダイナムコエンターテインメントのライセンスプロダクションでパックマンを担当するシュウ・ブンさんに話を聞いた。
世界中の日常に浸透する、変幻自在のキャラクター。
Q.「パックマン」の持っていたゲームとしての革新性とは何だったのでしょうか?
A.「パックマン」が発売された1980年当時は、男性を中心にシューティングゲームが世界中で流行っていました。そんな中、やりたくても輪の中に入れない女性やカップルをターゲティングして作られたのが「パックマン」です。戦いなどの暴力的表現がなく、誰でも楽しんでプレイしやすい。今では珍しくありませんが、当時そんなゲームは「パックマン」だけでした。新たなターゲット層に目を向け、0から開発したその着目点こそがゲームとしての革新性だったと思います! そのおかげか、珍しくファン層は世界どこでも男女5:5という結果になっております。
「パックマン」のキャラクタースケッチ。
1980年当時のパンフレット。
Q.その後、「パックマン」の40年以上に及ぶ歴史の中で、もっともエポックメイキングな年とはいつだったと思いますか?
A.2005年です。1980年に「パックマン」のゲームがリリースされてから1987年までの7年間で総販売台数が約300,000台になり、「最も成功した業務用ゲーム機」としてギネス世界記録より認定をいただきました。どの国でも共通する「ギネス世界記録」にパックマンの名を残せたのがすごくうれしいですし、この記録が塗り替えられないよう、気持ちを引き締めていきたいです。
「パックマン」が登場したのは筺体と言われるアーケードゲーム機で、当時ゲームセンターには必ずと言っていいほど置かれていた。
Q.『パックマン』が、発売当時を知らない若い世代の心を、性別・国籍問わず掴み続けている理由は何だと思いますか?
A.私も発表当時を知らず、なおかつ中国出身です。それでもパックマンは小さいころから知っておりました。気づいたら生活の中に潜んでいたんです……! それは「パックマン」グッズを販売していない国の方が少ないのでは? というくらい世界中にライセンスを展開しているからでしょう。若い世代のパックマン好きな方々の多くは、いつの間にか生活の中に「パックマン」がいたというケースが多いです。また、男性に関しては、プレイをしたことがなかったとしてもゲームのイメージが染み付いているようですが、女性は「レトロでかわいいキャラクター」という印象を持たれている方が多いようです。あくまでもキャラクターとして好きという人も増えてきています。
「パックマン」に登場するドット絵の愛らしいキャラクター。
Q.「パックマン」のキャラクターとしての魅力とは?
A.1番はやはり「何にでもなれる」ことだと思います。パックマンはゲームの主人公ですが、スタイルを変えてさまざまなグッズになっています。過去にはピザになったことも。商品の目的やターゲットに合わせてデザインをアレンジできることがパックマンの最大の魅力だと思います。
Q.ご自身にとってゲームとは?
A.ゲームとは、英語よりも実用的な世界共通言語だと思います。協力してプレイしたり、同じゲームにのめり込んでいるだけで仲良くなれたり、輪が広がったり………。私は日本に初めて留学したとき、言語も文化も違うので、友達ができるか正直不安でした。しかし、ゲームを通じ仲良くなった人がたくさんいます! それがこの会社に入社した1つの理由でもあります。ゲームは本当に最高のエンターテインメントです!
PROFILE
シュウ・ブン|中国出身。2021年株式会社バンダイナムコエンターテインメントに入社。入社直後からライセンスプロダクションにて「パックマン」などのキャラクターを扱うチームに配属。国内だけでなく欧州の地域のライセンスビジネスを担当している。
復刻Tシャツからひもとく、“本物”の魅力
【20th UT ARCHIVE vol.1 森山大道】
【20th UT ARCHIVE vol.2 天才バカボン】
【20th UT ARCHIVE vol.3 ソニック・ザ・ヘッジホッグ】
【20th UT ARCHIVE vol.4 パックマン】
PAC-MAN™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
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