復刻Tシャツからひもとく、“本物”の魅力【20th UT ARCHIVE vol.9　ゴジラ】

これまで数えきれないほどの魅力的なグラフィックが、UTのアイテムを彩ってきた。20年を迎えた今年、その一部の柄を復刻するアーカイブプロジェクトが始動した。時代を超えて世界中の人々に愛されるそのモチーフたちには、どんな思いが宿っているのだろう？　クリエイターや関係者の言葉を通して迫る。今回取り上げるのは、2007年のUTに登場した『ゴジラ』。世界にその名を轟かせる、メイド・イン・ジャパンの怪獣映画シリーズについて、東宝でゴジラビジネス全般を担当する吉川哲矢さんに話を聞いた。

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20th UTアーカイブ UT グラフィックTシャツゴジラ（半袖・レギュラーフィット）

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常に時代を背負い、変化を恐れず挑戦する。

Q.ゴジラというキャラクターが生まれた経緯を教えてください。

A.映画公開と同じ1954年に起きた「第五福竜丸事件」がきっかけとなり、水爆実験によって太古の眠りから目覚めた怪獣が安住の地を追い出されたことに怒り、街を破壊するという構想が生まれ、『ゴジラ』が誕生しました。

1954年に公開された映画『ゴジラ』のワンシーン。

Q.『ゴジラ』シリーズの革新性とは何だと思いますか？

A.常にそのときの“時代背景”を反映させた物語だと思います。若い方にも記憶に新しい『シン・ゴジラ』では、「スクラップアンドビルドでこの国はのし上がってきた。今度も立ち直れる」という、今の日本を象徴するような台詞があります。このように“時代背景”を一貫して物語に反映させることが、シリーズの原点であり、革新性だと思います。

Q.今回のTシャツではシリーズ第四作『モスラ対ゴジラ』が使用されています。シリーズ内での同作の立ち位置を教えてください。

A.モスラとゴジラの闘いを初めて描いた作品であり、善悪に分けた怪獣対決の図式を取り入れたのもこの作品が初めてで、怪獣ブームのさきがけになった作品だと思います。

『モスラ対ゴジラ』のポスター。

Q.ズバリ、ゴジラ及びモスラのキャラクターとしての魅力とは？

A.ゴジラは圧倒的な強さの象徴。時代によって人類の敵であったり、ヒーローであったり、敵でも味方でもないというミステリアスさが魅力だと思います。一方のモスラは、「卵～幼虫～繭～成虫」と形態変化に加え、華麗で繊細だけどゴジラに敢然と立ち向かう強さを持っている。そんな姿に魅力を感じます。

Q.『ゴジラ』シリーズにとって“進化”とは何だと思いますか？また逆に、ここだけは変えてはいけないという点などはあるのでしょうか？

A.東宝社内にはゴジラブランドの“約束”と“原則”を取り決めた「ゴジラ憲章」があり、それをベースにそれぞれの時代性を反映させながら作品を制作してきました。ゴジラにとって“進化”とは、どんどん大きくなったり、どんどん強くなったり、どんどんVFXが精密になっていくことではなく、60年経っても70年経っても、常に最新のゴジラが観客をワクワクドキドキさせ続け、守るべきものは守りながらも“変えてはいけない”ではなく“変化を恐れず挑戦する”ということでしょうか。

Q.今もなお世代、性別、国境を越えて『ゴジラ』シリーズが愛され続けている理由は何だと思いますか？

A.日本独自の特撮技術が生み出され、1954年の『ゴジラ』が公開から今年で68年、ときにシリアスに、ときにコミカルに、時代とともにテーマや作風を変化させながらも、「怪獣映画としての面白さ」を貫き通してきた、その情熱が世界中の観客に伝わったことが、時代や国境を越えて「ゴジラ」が愛され続けている理由だと思います。

PROFILE

よしかわ・てつや｜1981年、滋賀県生まれ。東宝株式会社映像事業部ゴジラルーム長兼ゴジコン（ゴジラ戦略会議）プロジェクトリーダー。宣伝部にて「GODZILLA（2014）」「寄生獣前後編」「進撃の巨人前後編」「シン・ゴジラ」の企業タイアップを担当し、2019年よりゴジラルームの責任者としてゴジラブランド全体を統括しながらTVCM、アトラクション、デジタルコンテンツ、などなどゴジラビジネス全般を担当。

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