もうひとつの「スケーターコレクション」としてリリースされるのは、ロサンゼルスのスケーターであり、ヨガやサーフィンを楽しみながら、ヘルシーなライフスタイルを送るアレックス・オルソンとのコラボレーション。Tシャツもアレックスのロサンゼルスでの生活同様に、シンプルで、ナチュラル、そして美しさに溢れる。
カリフォルニア州サンタモニカで母と祖母のもとで育ち、12歳の頃にスケーターなら誰もが知るレジェンドで、実の父でもあるスティーブ・オルソンと、サンタモニカから西に30kmほどのマリブで暮らすことになったアレックス・オルソン。新しい学校のみんながやっていたから、周りと合わせるように始めたというスケートボードで、2007年から2021年までプロスケーターとして活躍。現在は〈BIANCA CHANDÔN〉〈CALL ME 917〉の2つのブランドを手掛け、2010年代に拠点としていたニューヨークからロサンゼルスに居を移し、よい波が立つというサーフスポットでのサーフィンと、3つの瞑想を1時間かけて行う日々を送る。
「スケートボードは、スケーターでありアーティストのエド・テンプルトンが手掛ける〈TOY MACHINE〉が1996年にリリースしたビデオ『WELCOME TO HELL』でパートを持っていたドニー・バーリーに影響を受けました。年を取るにつれ、昔のスケートビデオも観るようになったのですが、15歳のときに観たマーク・ゴンザレスの〈BLIND SKATEBOARDS〉のビデオに出ていたジェイソン・リーのスタイルにもものすごい衝撃を受けましたね。当時、あんなふうに滑っている人はいなかったですから。僕は少年時代からかなりシャイで、それは今も変わっていないのですが、学習障害もあったので、スケートボードで体を動かすことの楽しさを知ったときには、他のどんなことよりも絶大な刺激がありました。テレビゲームも大好きでしたが、それは母に止められていましたね(笑)。スケートボードを始めたときはマリブに住んでいて、スポットというスポットはなかったのですが、サンタモニカまでバスで行って、プロがたむろしているウエストLA裁判所まで滑りに行ったり。ちょうど古い世代と新しい世代が交代する時期で、目の前でそれが起きているのを見るのは実に刺激的でした。それから、本当にプロになりたくて、プロになりたいと言いまくっていたら、とてもラッキーなことに夢が叶ったのです。父が通学からホームスクーリングに切り替えてくれたので、スケートボードをする時間が増えたことも大きかったですね。もしそうなっていなかったら今の自分はなかったと思います。とにかく旅をして世界を知りたいと思っていたのですが、私にとってスケートボードはその夢を実現するたったひとつの方法でした。トリックの組み合わせからスケートボーディングとは何かを理解し、地形や建築に対する好奇心に導かれて、今いる場所から次の場所へ移動しつつ行う“探求”こそがスケートボーディングの本質。スケートボードの他に興味のあるものは、何もなかったのです」
生まれ育ったカリフォルニアから2006年にNYに移り、2020年にまた西海岸に戻ってきた。2005年にNYに初めて行ったときは、同じくプロスケーターのジェイソン・ディルに、メッセージでほんの気まぐれにNYに行きたいと送ったら、飛行機のチケットを買ってくれたのだそうだ。翌年から約14年間NYにいて、2010年代のNYのスケートシーン、カルチャーシーンで圧倒的な存在感を放った。
「2020年3月にカリフォルニアに家族を訪ねて行って、サーフィンをしました。サンフランシスコのDJイベントに出演することになっていたので、そこまで運転して行ったときにコロナが発生したんです。ロックダウン期間は父と祖父と一緒にオーシャンサイドで過ごしました。僕が今やりたいことといえば、サーフィン、作曲、ビーガン料理、メディテーション(瞑想)。ロックダウンでは大変な思いをした人がたくさんいましたが、振り返ってみると、ずっとやりたかったそれらのことをできた上に、仕事をしなくても、仕事について考えなくてもよかったので、僕にとっては本当に素敵な休暇となりました。これまでずっとスケートボードをやってきたので、そろそろ人生の新しいチャプターを始めてもいいのかなと思い始めたんです。スケートボードには、多大な刺激と興奮をもらったけど、今はスケートボードのようにどれだけやっても飽きない楽しみも増えました。そのうちのひとつであるサーフィンの魅力はなんといっても、母なる自然のエネルギーと推進力が一体化すること。それができた瞬間は時間がゆっくりと流れているように感じるのですが、それは深い瞑想状態に似ているのだと思いますね。初めて滑り台と出合い、それがどんなに面白いかを知った子供のような感覚とでもいうのでしょうか。サーフィンとは、海を理解し、その自然な形の一部になること。とても説明しにくく、ありがちに聞こえるかもしれませんがそんな感じです。サーフィン以外にも、スケートボードとビジネスの経験から、メディテーションとヨガは、人という存在や、人がどうやって進化するかを深く理解するのに欠かせないツールだということがわかりました。そして、睡眠と食事時間をより厳密に守るようになって、私の人生は大きく変わったのです」
スケートボード、サーフィン、メディテーション、音楽。アレックスがやってきたこと、これからもやり続けることへの共通点は何かと聞くと、「規則や境界線に縛られない、創造性の解放」だと言っていた。今は独学で、木材を使いテーブルや椅子を作り、サーフボードの作り方も学んでいる。まだ36歳。これからの人生もまだまだ太く、長い。
PROFILE
アレックス・オルソン|1986年、カリフォルニア生まれ。2007年から2021年までプロスケーターとして活動後、現在はロサンゼルスに住み、自身のブランド〈BIANCA CHANDÔN〉〈CALL ME 917〉を手掛ける。サーフィンやメディテーション、ヨガに傾倒し、DJやミュージシャン、写真家などといったマルチな才能も発揮中。
「フラワーモチーフは3枚です。花は自然の中で最も美しいもののひとつですが、その美しさはほんのひとときで消えてしまいます。それがまるで自分自身の青春のようだと思いました。グレープフルーツは色も、果肉の部分の分かれたラインのデザインも美しいんです。私たちの身の回りにある自然に敬意も表せればと思っています。これらのデザインにはそんなに深い意味はありませんが、シンプルなデザインがすごくいいときもあります。世界各地で混沌としたエネルギーが吹き荒れている今、私たちに必要なものはシンプルさではないでしょうか」
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© Alex Olson
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