プロ、アマチュア、性別問わず、ここ数年でスケーターが増え続けている。女の子たちもスケートパークに集い、世代や住む場所、学校、職場の違いは関係なしに、揃ってスケートボードに夢中みたいだ。上野伸平とアレックス・オルソンが手掛けた「スケーターコレクション」のUTを着て心から楽しんで滑る彼女たちの姿と気取らない会話から、スケートボードが様々な垣根を越えて人々を魅了する理由が見えてきた。
この日撮影のために集まってくれたスケーターガールズは、普段は勉学に励む10代の学生3人と、30代の社会人2人。異なる居場所でそれぞれの日常を送る彼女たちだが、休日や放課後に一緒にスケートパークで滑り、大会で顔を合わせるスケーター仲間である。
自由にいつもどおり滑り始めると、親子並の年齢差など感じさせぬほど笑いの絶えない空間に様変わり。誰かが技をメイク(トリックを成功させること)すれば、「イエー!」と歓声を上げ合い、失敗しても、ステンと転がる姿を見て周りが和やかになる。「できないことは恥ずかしくないし誰も責めないので、最初はシャイな子でも、どんどん明るくなって自然とポジティブになっていく。それに、スケートボードが好きっていう共通点があれば、女子か男子か、初心者か経験者か、年上か年下かなんて気にせず盛り上がれるよね?」と、大会にも多く出場する高校生の前田日菜さんと中学生の杉本二湖さんから真っ直ぐな言葉が溢れる。スケートボードの前にはすべてがフラットで、クラスメイトが休み時間に教室でじゃれ合うように、その場にいる全員がただ純粋にその時間をエンジョイしているようだ。
だけど、なぜこんなにもスケートボードを楽しみ続けることができるのだろう?怪我は恐くないの?という問いかけには、全員が口を揃えて、「大会に出ていい成績を残したいっていう目標のためでもあるけど、メイクしたときの快感を一度味わうと、転んだ痛みなんて忘れちゃう!」と、勝つこと以上にクセになる達成感を語ってくれた。なかでも、スケートボード歴が最も長いビデオグラファーの村井祐里さんいわく、「板に乗ることすら恐怖心を感じるであろう初心者が頑張って挑戦していると、私自身も励みと刺激になってもっとやりたいと思えるんです」。昨今のスケートボードブームは、2021年に開催された東京オリンピックでの日本人スケーターの活躍や、コロナ禍で新たな趣味としてスケートボードを始める人が多かったことなど、理由は様々だろう。だが、彼女たちを見ていると、単なる時代の流れによる消費の対象ではなく、他人に平等に接する姿勢や前向きに生きるためのエネルギーをもたらしてくれるスポーツだと思わされる。
28歳からスケートボードを始めた会社員の秋元奈津紀さんは、「お金も時間もかからず、板さえあればいつでもどこでもできるところが、トライしやすく長く続けられるポイント」だとも話す。もちろん異国の地も例外ではないので、海外旅行の際に現地のスケータークルーとSNSを通して連絡を取り、一緒に滑ることもあるという。「観光案内までしてくれて、板ひとつあるだけで国籍も言語も越えたコミュニケーションが広がっていくんです。私も、海外のスケーターが日本に来たときは同じように歓迎しますよ!」
最後には、中学生の原田結衣さんが「今度はぜひ一緒に滑りましょう!」と、スケートボード歴ゼロのひとまわりも年齢の離れた私たちをも、弾けるような笑顔で誘ってくれた。
PROFILE
すぎもと・にこ|小学1年生でスケートボードの体験イベントに参加したことをきっかけに滑り始め、現在スケートボード歴8年の中学2年生。「パークで滑るときは友達と連続でトリックを決めるのも面白いです」。得意なトリックは「ヒールフリップ」。
Instagram: @sugimo_ot
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まえだ・ひな|スケートボード歴7年の高校3年生。兵庫県在住で、通信制の高校に通いながら日本全国のスケートボードの大会を巡り、アメリカなど海外の大会にも参加。「大会に出た先々で友達ができて嬉しいです」。好きなトリックは「バックサイド180キックフリップ」。アメリカ本国からスポンサードもされている有望株。
Instagram: @hina__maeda
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むらい・ゆり|スケートボード歴18年のスケートボードビデオクリエイター。高校時代にスケートボードが流行っていたのをきっかけに滑り始め、2013年にはガールズスケーターを撮影した『joy and sorrow』を制作。好きな技は「ボンレス」。「撮影から編集まですべて自分で行い、形として残るようにDVDで作っています」。
Instagram: @yuriyuri_desu
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あきもと・なつき|長年スノーボードをし、28歳からスケートボードを始め、今年で10年目。平日はスポーツブランド企業の営業職に就き、仕事終わりや週末にパークで滑る。好きなトリックは「バックサイド50-50グラインド」。「ちょっと疲れたら休憩して、のんびり滑るのも楽しいですよ」。
Instagram: @nanana_0709
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はらだ・ゆい|今年でスケートボード歴約5年の、中学1年生。手すりやベンチ、バンクなど街中のようなコースを滑る「ストリート」と、ランページと呼ばれる湾曲したコース内で滑る「バーチカル」のどちらの大会にも出場。「自分のスタイルを持った格好いいスケーターを見ていると、自分自身も磨かれていきます」。
Instagram: @yui_hrd_0515
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© Shinpei Ueno
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