バンダイ・ホビー・センター
2020.04.02

ガンプラ”が生まれる工場、バンダイホビーセンターへ!

バンダイ・ホビー・センター

『機動戦士ガンダム』の“ガンプラ”が、今年で発売40周年を迎える。自ら組み立ててガンダムを作る喜びは、多くの子供と大人を魅了し続けている。連日ガンプラが生まれるバンダイホビーセンターを訪ねた。

ガンプラ40周年アニバーサリー

ガンプラを作ることが、ファンの証だった。

『機動戦士ガンダム』の劇中に登場するモビルスーツを、スケールを落としてアニメそっくりに再現したプラモデル、ガンプラ。ガンダムシリーズは、アニメや映画、配信など、無数の作品が誕生し続けており、物語が始まると同時に新たなガンプラが企画される。そのため、販売開始40周年を迎えた今もなお、BANDAI SPIRITSの主力商品だ。今では中学生や高校生がガンプラバトルを繰り広げる、『ガンダムビルドファイターズ』というメタフィクション構造のアニメも作られるほど。そんなガンプラ制作を手掛ける工場、バンダイホビーセンターは、静岡県静岡市の長沼にある。最寄り駅を降りれば、目の前に青いBANDAI SPIRITSのロゴ。RX-78-2 ガンダムの巨大イラストに敬礼してエントランスを抜けると、年代別のガンプラがショウケースにずらり。「ザクだ!」「アッガイだ!」とつい声をあげてしまう。「やっぱりファーストは根強い人気がありますね。女性は『SEED(シード)』とか『UC(ユニコーン)』が好きな方が多いですよ」と、案内してくれたのはホビー事業部の狩野義弘さん。入社からガンプラひと筋だ。

「ガンプラって、『機動戦士ガンダム』の放送開始から1年後に販売したんですよ。販売したときには放送が終わってしまっていた。でも『ガンダム』って、再放送で人気が出たんです。ネットもないから、みんなガンプラを作ることで『僕はファンです』と表現できたわけですね」。それまでもロボットのおもちゃはあったが、原作に忠実なものは少なかった。『宇宙戦艦ヤマト』の本格的な戦艦プラモデルを作っていたバンダイは、ガンダムを1/144スケールで忠実に再現。そのリアルさに大人ものめり込み、一大ブームとなったのだ。

進化を遂げながら、守り続けるBANDAI SPIRITS

「この工場では、ひとつの金型に4つのプラスチック原料を流し込む“4色成形”を行っています」。初期の頃は一度に4 色なんて技術はなかったから、真っ白なボディを組み立てて自分で塗装していたけど、今は色や素材の違うパーツがいっぺんに作れるのだ。新しい技術を取り入れつつ、守るところは守る。実際、ガンプラはどんな工程で作られるのだろう。

「まずはアニメ企画が持ち上がります。制作はサンライズさんが手掛けていますから、内容を聞いて、モビルスーツのデザインを確認します。続いてギミックや形状を考え、コンピュータ上で3Dのガンプラを制作。部品ごとに分け、ランナー配置に落とし込みます。金型を作り、試作を重ねて、ようやく生産がスタートします」。これが金型ですよ、と狩野さんが見せてくれたのは、初代RX-78-2 ガンダムのものだった。なかなか年季が入っている。「ずっと同じものを使っています。ちょっとずつメンテナンスはしているので、微細な仕上がりの違いはあるかもしれませんが、基本的には一緒。パッケージもそう。会社のロゴやデータなどは変わっていますけどね」

そう、やっぱりガンプラといえば箱。街からプラモデル屋は消えてしまったけど、今でもデパートのおもちゃ売り場で、圧巻の面構えを見せている。ガンプラUTの特典ガンプラも、イメージどおりの箱に仕上がった。「前回はユニクロさんに合わせて白い箱だったんですけどね。今回はガンプラらしさを大事にしました」

バンダイ・ホビー・センター

生産フロアには、プラスチックを加工する射出成形機がたくさん並んでいた。小さな粒状のプラスチック原料が金型に流し込まれ、次々とプレスされていく。マシンはガンダム風の色やシャアザク風の色に塗装。狩野さんの着ているジャケットも連邦軍の制服風だし、現場スタッフはネイビー地に赤、白、黄のアムロ・レイっぽいセットアップ。世界観を大事にしながら、最高のガンプラを世に送り出す姿は、さすがBANDAI SPIRITS。最新モデルのパーツの細かさには面食らうけど、あのシンプルなRX-78-2 ガンダムの初期型は、永遠に販売し続けてほしい。

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©創通・サンライズ

PROFILE

バンダイホビーセンター|世界で唯一のガンプラ製造工場。『機動戦士ガンダム』の世界観を取り入れ、外壁の高さは初代ガンダムと同じ18m。職員たちは地球連邦軍の軍服を模したユニフォームを着用する。