グラフィックTシャツの原点ともいえるメッセージTシャツを、アメリカとイギリスのアートシーンで活躍する3人の現代アーティストと制作。タイポグラフィーやグラフィックをTシャツにのせ、今をポジティブに生きる楽しさを分かち合い、愛を語る。「ザ・メッセージ」シリーズの最後のひとりが、LAで創作活動をするトレヴァー・アンドリュー。スケートボードに乗ることで創造力を養い、プロスノーボーダーとして雪山を舞台に自身を表現し、それらの経験と感性を生かすことで、アーティストとなった。彼の削ぎ落とされたポップなストリートスタイルの作品は、ラヴ&カオスな独自の主張で彩られる。
街にあるすべてのものが遊び場になり得る。
プロのスノーボーダーとしてスノーボードの世界ではその名を知らぬ者はいないほどの活躍を経て、アーティストへと転身したトレヴァー・アンドリュー。彼が描いてきたキャンバスは、自然の只中である雪山から、紙やパソコンといったすぐ隣にある日常の世界へと変化を遂げた。
「もともとスケートボードをやっていて、スノーボードの世界に入ったのですが、スケートボードは音楽や映像といった様々な媒体のアートに触れるきっかけをくれただけでなく、世界の見方も変えてくれました。街にあるすべてのものが遊び場になり得るという創造力のようなものをスケートボードは教えてくれたんです。僕はこのアプローチを自分自身の人生に日々取り入れてやってきました。ですので、スノーボードも山を舞台に自分を表現することだと思っていましたね。今の僕のスタイルは、ポップアートというひとつのカテゴリーに当てはめられるかどうかはわかりませんが、子供の頃の体験に影響を受けているのは間違いないです。よく母は幼い僕を連れて友人たちと地元のオークションに行っては好きなものを探していました。そうするうちに、僕は生まれ育ったカナダのノバスコシア州のフォークアートシーンに自然と触れていたのです。そんなフォークアートへの原体験が、作品にどれほど大きな影響を与えていたのかを僕自身理解したのはほんの数年前のことでした。僕のスタイルはポップアート風かもしれませんが、対象を極限まで削ぎ落としている点では、フォークアートを思わせます。これはやはり、幼い頃から知らず知らずのうちにフォークアートに触れてきた体験と、最近までそれが僕にどんな影響を与えてきたのかを自分でもよくわかっていなかったことが大きいと思います。自分のスタイルが幼少期の体験に影響されていると気づいたときは、ストンと納得できました」
お母さんがくれた紙の束に絵を描いて育ち、自分が面白いと思ったものを一日中描きまくっていたというトレヴァー。夢中になると、とことん突き詰めるタイプで、最初は絵、その次にスケートボードにハマるとそればかりをやっていたそうだ。
「僕が絵を描くことが大好きだとわかると、母は一生懸命それを伸ばしてくれようとしました。遊びに行くのも自由にさせてくれました。スケートボードをしているときは、いつも年上の人たちとつるみ、いろんなところに連れて行ってもらっては自由に滑っていましたね。子どものときにあれほど自由にさせてもらえたのは本当によかったと思います。今もアートを作り続けていますが、自分にとって表現とは自由になることで、それがたまらなく面白いのです。なので、もっといいアーティストになろうと努力するだけでなく、デジタルや彫刻など、様々な表現方法を使って自分を表現する新しい方法を常に模索しています。ひとりの人間として成長するために自分を追い込んだりもします。自分が経験したこと、今経験していることをすべて受け止め、学び、成長し、さらに強く、もっと思いやりがある、よりよい人間になるにはどうすればいいかを考えています。どんなことでも成長することに僕自身は魅力を感じているのです。アートが面白いのはこのためだと思います。スケートボードやスノーボードが面白いのも、すべてが進歩だからです。僕の子供たちが興味を持つようになったというのもあるのですが、最近スノーボードとスケートボードへの愛がまた蘇ってきましたね」
「“ART&CHAOS”という言葉は僕の人生の大部分を占めているものなのですが、その言葉が書いていなくても意味が伝わるシンボルを描きました。絵と言葉が同じことを言っている状態をこのTシャツでは目指しましたね。カオスでクレイジーな時代においても、美しいものを作ることはいつだってできます。私は自分の人生で何度もこれを経験してきました。たとえば、家が火事になったときにそれを作品にしたり、なかなか立ち直れない辛い経験から何かを作り出したり。このようなカオスを受け入れ、そこからアイデアを考え出し、美しいものをかたちにするということをここでは意図しました」
「愛は平等です。愛は、私にとっての原動力、私たち皆を駆り立てるもの、すべての人が共有しているものだと思います。“愛は誰にとっても最も強力で、私たちをひとつに結びつけるもの”というメッセージを込めました」
「このデザインは想像力といった様々な感情を表しています。チャレンジとエネルギーとライフ。人生がもたらすものすべてのうちの、その一部を感じてもらえたらと思います」
「ダイヤモンドには強い主張があります。物質的な美の象徴、地球から生まれたもので、ダイヤモンドはアートとカオスに似ています。アートやカオスも生きることの重圧が作り出す美ではないでしょうか。ダイヤモンドもまた、地球の圧力によって作り出される美しい宝石です。この圧力がなければ、最も美しいものが手に入らない場合もあります。そのためには挑戦が必要なのです。このダイヤモンドは圧力下で起きる変化と美の創造を象徴しています」
PROFILE
トレヴァー・アンドリュー|アーティスト。1979年、カナダ生まれ。ポップアートとストリートスタイルが融合した作品で世界的に知られる。元プロスノーボーダーで、その後アーティストにキャリアチェンジ。
商品により、取り扱い店舗や展開国が限定されることや完売することがございます。
Trevor Andrew
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