いかにも、プレイステーション®を着る。

約30年前に発売開始以降、今もなお世界中のユーザーを魅了してやまない日本生まれの家庭用ビデオゲーム機プレイステーション®。最新機のPlayStation®5までプレイし続ける熱いファンはもちろん、実際に遊んだことのない人でも、その名が知れ渡るほどに成長を続け、生活のよき伴侶となった理由はどこにあるのか。見たらそれとわかる歴代コントローラーや、△◯×□の操作ボタンなどがデザインされたコラボTシャツの登場にあたり、いま一度プレイステーション®の歩みを振り返ってみよう。

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「音楽や映画にも比肩し得るような“新しいエンタテインメント・ドメイン”を創造し、世界規模で大きく育て上げる」。そんなビジョンのもと、プレイステーション® は1994年に「SONY」から産声を上げた。それから25年が経った2019年までに累計4億5000万台を売り上げ、「史上最も売れた家庭用ビデオゲームコンソールブランド」としてギネス世界記録に認定。言葉どおり、世界が夢中になる家庭用ゲーム機となったわけだが、当初掲げた壮大な夢はどのようにして現実となったのだろうか。

まず、初代PlayStation®が誕生する以前に話を遡ろう。当時、三次元空間に存在する立体像を平面に投影して描画する三次元コンピューターグラフィックス（3DCG）という表現技法をリアルタイムで生成する家庭用ゲーム機はなく、ビデオゲームは子供向けの玩具のひとつであった。そんな3DCGを生成するために当時使用されていた業務用コンピューター「ワークステーション」はなんと1台数千万円。初代PlayStation®は、そんなワークステーションに匹敵する性能を備えた「遊び（Play）のためのコンピュータ」ということで「PlayStation®」と名付けられた。3DCGで画面上の物体が立体的で滑らかに動くという前例のない家庭用ゲーム機を3万9000円という破格の価格で販売したことはいまでも語り草となっている。

しかし、彗星の如く現れたプレイステーションが与えたのは感動だけではなかった。コントローラーはゲーム機にありがちだった板状のそれではなく、つい握りたくなるハンドルのようなグリップ型にし、操作ボタンは老若男女、国籍問わず誰もが覚えやすい△◯×□に決定。こうして、機能、価格、デザインの3つの点に前代未聞の試みと楽しさを吹き込み、何の真似でもないオリジナリティを作り上げた。

華やかなデビューを飾り、このときすでに当初の目標は達成したかのように見えるが、その後の進化もとどまることを知らない。振動機能を備え、アナログスティックが搭載されるなどアップデートを続け、2000年発売のPlayStation®2ではコントローラーのスタートとセレクト以外のすべての入力がアナログ化。多彩な操作が可能となり、本体は一般的なDVDプレイヤーと比較しても安価な価格だったため、映像と音声を視聴できるAV機器としても人気となった。

2006年のPlayStation®3ではBluetoothによる無線接続、ブルーレイ対応、本体へのゲームダウンロードが可能となり、続く2013年のPlayStation®4では業界初となる「SHARE」ボタンをコントローラーに搭載し、ゲーム最中の画面を友人やSNS動画サイトに投稿できるようになったことでゲーム実況文化に大きく貢献した。

2020年に満を持して登場した最新機PlayStation®5では従来の振動機能を刷新。ボタンの抵抗力が変化するトリガーエフェクトにより、弓の弦をギリギリと引き絞ったり、ハイスピードで走る車にブレーキをかけたりと、画面上で展開されるアクションを実感できるようになった。加えて、3Dオーディオ技術によって遠くから聞こえるチームメイトの声や、近くから忍び寄る捕食者の声色という周囲の環境が鮮やかに再現され、まるでゲームの世界に入りこんだかのような濃密な体感を実現した。

こうして歴史をたどると、初代PlayStation®から最新PlayStation®5に至るまでのすべてに想像の範疇を超えた数々のアイデアが組み込まれた、人々を飽きさせないイノベーションへのチャレンジが見えてくる。プレイステーション®がいかにして家庭用ゲーム機の王者になったのか、それと同時に、絶大なるインパクトとともに先人が作り上げた高い壁を確実に超え続けようとする製作陣の姿も思い浮かべられる。冒険することを恐れない挑戦心のもと、この先もプレイステーション®の歩みは続いていく。