UT magaizne編集部
2023.03.24

東京、パリ、ニューヨークで掘る マンガ&アニメのカルチャーナビゲーション。

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東京の中野駅前にそびえる商業施設、中野ブロードウェイ。昭和時代にタイムスリップしたかのような雰囲気が残るこの施設は、漫画やアニメにまつわるお店が数多く軒を連ねている。とりわけ、漫画やアニメを中心に、日本のポップカルチャーにまつわるあらゆるものをジャンル別に扱う『まんだらけ』と、アングラ文化に根ざした書店『タコシェ』は、中野ブロードウェイを“漫画&アニメの聖地”に至らしめた立役者と言っても過言ではない。というわけで、若い頃から足繁く通ってきたというUTのクリエイティブディレクター河村康輔さんに、この2つのお店のこと、そして日本のポップカルチャーの魅力を語ってもらおう。

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「秋葉原は街全体にいろんなお店が散らばっているのに対し、中野の場合はブロードウェイ内に集約されている。だから、セレクトショップ版の秋葉原みたいなものだと僕は思います」。東京におけるもう1つの“漫画&アニメの聖地”、秋葉原との違いをそう語る河村さん。ひとたび足を踏み入れると、日本のポップカルチャー史を一望できるのがブロードウェイというわけだ。

そんな河村さんの行きつけが、『タコシェ』だ。「根本敬さん、友沢ミミヨさん、丸尾末広さんなど、’80年代から’90年代にかけての尖った漫画カルチャーを中心に、その文脈の延長線上にある国内外の作品を取り揃えたお店です。少部数のZINEから、レコードなど音楽関係のものも充実しているので、自分の中ではハードコア版『ヴィレッジバンガード』という認識ですね」。ちなみに、河村さんは『タコシェ』とマルセイユに拠点を置くアートブック出版社『Le Dernier Cri』が共同でオーガナイズし、2014年に南仏で開催された日本の漫画に関する2つの展覧会、「Heta Uma」展と「Mangaro」展に参加するなど、客としてのみならずアーティストとしても縁が深いお店だ。

一方の『まんだらけ』については、「もう本当になんでもあるので、ひと言では表現できません」と河村さんは笑う。実際、『まんだらけ』は漫画を扱う『本店』のほか、『アニメ館』『コスプレ館』『カード館』など、ジャンルの違う店舗がブロードウェイ内だけでも35もある。「最近は、海外からのゲストが来た時に必ず訪れています。みんな、とにかく行きたいって言うので。この前、UTとコラボレーションしてくれたカリ・デウィットも、昭和レトログッズ専門の『変や』でアンパンマングッズを買っていましたね」

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海外に向けても情報発信する『タコシェ』と、海外から客が絶えない『まんだらけ』。その2つが店を構える中野ブロードウェイは、世界と日本文化の交差点と言えるだろう。今では海外の友人らの視線を通して、当たり前に接してきた日本のポップカルチャーを再発見しつつあるという河村さんは、その魅力を「細部に対する圧倒的なこだわり」と表現する。

「例えば、海外でも人気の高い大友克洋さんは、倒壊したビルの瓦礫の1つ1つに、そこに至るまでの物語を表現すべく細かく描写することで知られます。『ドラゴンボール』や『ワンピース』も同じで、マス向けのオブラートに包んだ表現にはなっているけど、細部へのこだわりはスパイスとして生きていると思うんです。“メイド・イン・ジャパン”のプロダクトにも通じるようなそういう手の込み方が、海外の人にはインパクトを与えているんじゃないかと思います」

ジャパニーズポップカルチャーはここで探そうか。

『タコシェ』
1993年、漫画雑誌『ガロ』のアンテナショップとして西早稲田でオープンした後、’94年に現在の場所に移転。自費出版物、少部数・限定出版物など通常の流通に乗りにくい書籍や雑誌のバックナンバーなどを中心に多様な本の他、CDやカセット、衣類なども揃う。
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F 
☎03-5343-3010 12:00〜20:00 水曜定休
www.tacoche.com

『まんだらけ 変や』
漫画家としても活動していた古川益三さんが、1980年に中野ブロードウェイで開業。現在、同施設内の店舗は33に上り、渋谷や池袋などにも店舗を構える。戦前から1970年代にかけての企業ノベルティグッズなどを販売する『変や』は、古川さんの肝いりで開店した店舗。
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ4F 
☎03-3228-0007 12:00〜20:00 無休
www.mandarake.co.jp/category/jpa

Recommender Wii from Gaak from Paris

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『マンガ ストーリー』
パリのジャパニーズポップカルチャーファンにとって、アニメDVDやマンガ、フィギュア、ボードゲーム、オフィシャルポスターなど、たくさんの商品が手に入る理想的なショップが『マンガ ストーリー』。Wiiさんによると刀とコスプレの専門店『Manga Dori』もおすすめとのこと。
13 Bd Voltaire, 75011 Paris 
☎01 47 00 99 57 10:30~19:30
www.manga-story.fr

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『リブレリ ジュンク』
いつでも新しいマンガが並んでいるという『リブレリ ジュンク』。単行本だけでなく、少年ジャンプのような日本の週刊誌が揃っているのもお気に入り。「休日は友達と一緒に新しいマンガやアニメをチェックしたり、好きなキャラクターのグッズを探したりしています」とWiiさん。
18 Rue des Pyramides, 75001 Paris ☎01 42 60 89 12 10:00~17:00
www.junku.fr

Recommenders Uniqlo US Team from New York

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『フォービドゥン プラネット』
ユニオンスクエア近くのブロードウェイに面した『フォービドゥン プラネット』は、ここに来ればなんでも揃うと言われるニューヨークの伝説的ショップ。アメコミを中心にフィギュアやトイ、コミック、ボードゲーム、映画のメモリアルグッズなどが並ぶなか、日本の漫画コーナーも大充実。
832 Broadway, NY 10003 
☎212.473.1576 10:00~20:00
www.fpnyc.com

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『アニメ キャッスル』
クイーンズにあるジャパニーズアニメファンの聖地。お店は小さいが、マンガやDVD、CD、フィギュア、ポスターといった日本のマンガやアニメに関するセレクションに加えて、日本でも大きな書店でないと取り扱いがなさそうなタイトルやマニアックなグッズまで揃う。
35-32 Union St, Flushing, NY 11354 
☎347.438.1296 12:00~18:00
www.animecastle.com

PROFILE

かわむら・こうすけ|1979年、広島県生まれ。コラージュアーティストとして国内外で個展を開催すると同時に企業ともコラボレーションするなど、その活動は多岐にわたる。2022年、UTのクリエイティブ・ディレクターに就任。

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