パリで日常を過ごしながら、アートを学び、創造し、それを全身で楽しむ学生たち。彼ら彼女らはどのようにTシャツを選び、着ているのだろう?
「トイ・ストーリー」のロッツォが好きなの。バックのデザインもラベルみたいでついつい読み込んじゃいますね。
Q. アートを志す人にとって、パリはどんな街ですか?
フランス人だけでなく、海外からも多くの学生たちが集まるダイナミックな街。私も台湾出身ですし、いろんなバックグラウンドを持つ人とアートを通してアイデアを交換したり共有できるのは楽しいですよ。
Q. 贔屓のショップやアーティストはいますか?
サン・マルタン運河沿いの『librairie sans titre』というブックショップによく行きます。アートや写真に関する本が豊富に揃っているんですよ。アーティストなら、カナダ人のカプワニ・キワンガ!
Q. パリジャンのTシャツの着こなしをどう見ます?
自分が心地のいいままにTシャツを選んで着るのがパリジャンらしいかな。私は、『トイ・ストーリー』のロッツォが好きだから、このTシャツを選んだんです。読み込んじゃいたくなるラベルみたいなバックデザインも最高にイケてるし!
PROFILE
ジュン・ホー|パリ第8大学|ブルージュ国立高等美術学校
UTグランプリ(UTGP)2023で入賞したデザインのひとつで、フロントの左胸には『トイ・ストーリー3』に登場するロッツォが3Dでぷっくりと、バックにはロッツォの栄養成分を表示したユニークなラベルが入る。
パンクでクールな雰囲気がとっても気に入っているよ。背中にあるデザインが着ていると自分で見えないのが惜しいくらい!
Q. アートとは何でしょうか?
まさに僕がずっと考え続けている問いですね。7年間アートを学び、日々探しているけど、いまだに答えにたどり着けない。人生を反映させるものかな……。
Q. 好きなアートのスタイルは?
ドイツの彫刻家兼写真家、トーマス・デマンドのスタイルが面白いですね。ただ写真を撮るだけでなく、自ら制作したフィジカルな素材を被写体にして撮影したものを作品にしているんです。
Q. パリでの生活はどう?
生まれたときからパリで過ごしているけど、展示も豊富だし、アート活動をしている人にも多く出会えるし、今も素晴らしい場所だと感じます。お気に入りは、サン・マルタン運河沿いの『Artazart』という真っ赤な外観のブックショップ。
Q. 着ているTシャツについて思うところは?
全体から溢れ出るパンクな雰囲気が最高! 着ていると背中のデザインが自分で見えないのが惜しいくらい(笑)。
PROFILE
テオ・オワダ|フランス国立高等工業デザイン学院
「ルーヴル美術館」とクリエイティブユニット「M/M (Paris)」のコレクション。「M/M (Paris)」がルーヴル収蔵の文字の入った作品を撮影、コラージュをし、タイポグラフィやグラフィックに。バックには、LOUVREの「L」のコラージュと、「M/M (Paris)」オリジナルのタイポグラフィで制作されたLOUVREの文字を、フロントの左胸には「M/M (Paris)」のキャラクター「エージェント」がプリント。
セリグラフィーとステンシルの技法をミックスしているところが好き。グラフィックデザイナーの作ったポスターだね!
Q. 好きなアーティストはいますか?
学校でバンド・デシネを勉強しているので、フランスのバンド・デシネ作家、ニコラ・ド・クレシーと、日本の漫画家の松本大洋が憧れです。
Q. パリでオススメのスポットは?
11区のヴォルテール。僕の生まれ育った街なので、ぜひみんなにも来てもらいたいですね!
Q. 今日はなぜこのTシャツを着たの?
セリグラフィーとステンシルの技法が綺麗にミックスされているところが素敵で。まるでグラフィックデザイナーの作ったポスターみたい! 実際、「M/M (Paris)」が作ったものですが(笑)。
Q. パリの街中でよく見るのはどんなTシャツですか?
パリジャンは、主に単色で、モチーフはあるけれどそれが複雑すぎないTシャツを好んで着るイメージがあります。新品というよりは、古着やヴィンテージ、両親や友達から譲り受けたお下がりなどのセカンドハンドも。それをなるべく大きくて長めのサイズで着ている人が比較的多いですね。
PROFILE
ディミトリ・ゼグボロ|パリ国立高等美術学校
「ルーヴル美術館」とクリエイティブユニット「M/M (Paris)」のコレクションから。「モナ・リザ」のヴィジョンと、美術館を見るプリズムのようなヴィジョンのルーヴル・ピラミッドの三角形を結びつけ、「M/M (Paris)」オリジナルのタイポグラフィで表現したLOUVREの文字を、フロントにダイナミックに描いた。
白ベースにタイニーなモチーフがついているものが好きなんだ。少しタイトなサイズにベルトで締めるのがスタイルさ。
Q. 制作活動のインスピレーションはどこからきますか?
僕は普段絵画を制作しているのですが、パリという自由な街から自然とインスピレーションを受けることが多いです。特に、お洒落で古めかしいバーが立ち並ぶ閑静なメニルモンタン地区は心地よく、落ち着くスポットなんです。
Q. アートはどうあるべきだと思いますか?
“自由”の一言! それぞれに自分のしたいことを自由に表現できるものじゃないでしょうか。
Q. Tシャツはどう着るのが好きですか?
今日着ているみたいに、ワンポイントのデザインが入ったシンプルな白いTシャツを、少しタイトなサイズで着るのがスタイルです。パリではいろんな着こなしを見るけれど、僕はできればTシャツをタックインして、腰回りをベルトでキュッと締めるのが好きかな。
PROFILE
スタニスラス・レオナール|モントルイユ美術学校
UTグランプリ(UTGP)2023でピクサー賞を受賞したデザイン。『トイ・ストーリー4』に登場するフワモフの毒舌コンビであるダッキーとバニーが、バックからフロントへと顔を覗かせている。
モンスターのサリーがお気に入り。モンスターは私の制作の中でも大切なモチーフなんです。
Q. パリですると楽しいことは?
様々な人や文化が入り混じり、長く深い歴史がある街でアートに浸ることはもちろんだし、電動スクーターに乗ってパリの街を周るのも大好き。でも先日、レンタル電動スクーターを禁止にするという決議があって、禁止されたらすごく悲しい! サン=ドニやモントルイユなどの郊外を、風を切って走るのが気持ちいいんですよ。
Q. 憧れのアーティストは?
ビデオ・アートの第一人者であるビル・ヴィオラと、『不思議の国のアリス』などで知られる19世紀のイギリスの作家、ルイス・キャロル。
Q. 『モンスターズ・インク』は好き?
はい! 普段私は、写真や絵画、ビデオ、インスタレーションなど様々な制作活動をしているのですが、その中でもガラスを使ってモンスターや恐竜の作品を作っています。なので、モンスターは私の中で大切なモチーフなんです。
Q. 今のパリのTシャツの着こなし方は?
ゆったり着こなす! 自分の体より大きめなものを選ぶかな。
PROFILE
アニサ・カエナZ|パリ国立高等美術学校
真っ黒なTシャツのなかで手を振る『モンスターズ・インク』のサリー。その下には、「We scare because we care」(真心こめて脅かします)というサリーが作中で勤めている会社のスローガンが。
小さな伝統的なモチーフ(紋様)と、モダンなグラフィックのコンビネーションがクール。すごく好き!
Q. どんなものから制作活動の刺激を受けていますか?
憧れのアーティストたちですね。アメリカ出身のグラフィックデザイナーのポーラ・シェアや、フランスの写真家、画家でもありインスタレーション・アーティストのジョルジュ・ルースとか。あとは、同じくアート学生の姉。一緒に育った家族だからこそ、アート活動をする上でのモチベーションにも刺激にもなります。
Q. パリの魅力的な一面は?
パリは地区によって人の雰囲気がまるで違うのが面白いところ。特に私の住んでいる18区はサン・マルタン運河もあるし心地よくて、小さな村みたいでとても好きです。
Q. アートとどのように向き合っていますか?
パリで私的に感じたことや見せたいもの、言いたいことを、アートをとおして伝えられたらいいなと思って、今は映像や写真などを編集やコラージュする活動をしてます。
Q. 「歌舞伎」のTシャツを選んだ理由は?
まず、ブルーのラインのグラフィックがいいですよね。ブラックと、パープルや朱色のヴィヴィッドなカラーの組み合わせにも惹かれました。小さな伝統的なモチーフ(紋様)とグラフィックのコンビネーションも、モダンでとてもクール。このように特定のモチーフがあるTシャツはシンプルに着こなしたいですね。
PROFILE
アクセル・ベニシュ|デュペレ応用美術学校
「動く錦絵」(木版画浮世絵)とも称される歌舞伎の華やかな衣裳がモチーフ。代表的な演目のひとつである「助六」の衣裳をグラフィックなデザインに落とし込んだ一枚。
指で描いているペインティングに見えるんだけど、抽象的で肋骨のようにも見えて面白い。これが日本の伝統芸能か!
Q. 現在の制作活動について教えてください。
学校でシネマを専攻しているので、主にフィルムを撮っています。子供の頃から母に映画を観せてもらって育って、中でも映画『アメリ』(原題: Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain)が大好きなのですが、僕にとって映画などのアートは、自分自身や人生の出来事から湧き出る感情だったりを伝達、表現するもののように思います。
Q. 日本のカルチャーで気になるものや人はいます?
もちろん! シンガーソングライターの秦基博さんの楽曲はよく聞きますよ。
Q. パリでほっと一息できるところは?
モンマルトル。モンマルトルの丘からパリの街を見たときに、私たちの存在の小ささを感じることができるところかな。
Q. 日本の伝統芸能「歌舞伎」のTシャツをどう見ました?
指で描いたような柔らかいタッチと、体の肋骨のようにも見える抽象的なデザインが斬新で面白いですね。そうか、このモチーフは日本の伝統芸能なのか! 僕は体とTシャツの間にゆとりを持たせて、オーバーサイズで着てみました。
PROFILE
フェリックス・ロニョン|国立高等映像音響芸術学校
元禄歌舞伎を代表する江戸の役者、初代・市川團十郎によって始められ、歴代の市川團十郎によって発展してきた化粧法「隈取」がモチーフのデザイン。白く塗った顔に、筆で線を引き、指でぼかす「隈取」のごとく、白いTシャツのフロントに潔く堂々とプリント。
商品により、取り扱い店舗や展開国が限定されることや完売することがございます。
協力:松竹
©M/M (Paris)
©Disney/Pixar
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