パリで誕生して25年。美しいフラワープリントや猫のモチーフなど、象徴的なデザインを数多く生み出しているPAUL& JOE。多くのファンを魅了し続ける同ブランドとの待望のコラボレーションがこの春登場する。発売を目前にしたとある日、デザイナーのソフィー・メシャリーさんとオンラインでのインタビューが実現。そのときの模様をお届けする。
ファッションデザイナーになることは必然的だった。
パリ10時。約束の時間に画面上に現れたのは、ラフにまとめ上げたポニーテールと鮮やかなイエローのニット姿が素敵なソフィーさん。リラックスした雰囲気ながら気品を感じさせる佇まいが印象的だ。快活な話しぶりからも、ブランドが大切にしているという"Joie de vivre"(生きていることの喜び)という精神を感じさせるのだが、ブランドコンセプトはあえて作らないのだと話す。「決められたルールに沿って型にはめるのではなく、その瞬間に目に留まるもの、好奇心をくすぐられたり、心惹かれるものに敏感で正直にいたい。そして何より直感的な"フィーリング"を大事にしています」。彼女の探究心は、美しい自然やアート、音楽など多岐に渡る。そして心を動かされた瞬間を大切にしながらコレクションを作り上げているのだという。「人生を楽しむこと、常に学び探究心を忘れないことを意識しているの。一見、直接的に無関係だと思っているこういう実体験や音楽、食文化など、あらゆることがインスピレーションにつながっていくものなのよ。こうして私の実体験や感じたことがコレクションになっているから、PAUL & JOE = 私らしいスタイルの提案になり、きっとその服たちを手に取るお客様にも共感してもらえているのだと信じています」
長年愛される同ブランドにとって、花や猫をモチーフとしたプリントは、ブランドを象徴する重要な要素だ。デザインだけでなく、鮮やかで意外性のあるカラーリングも定評で、毎シーズン発表するオリジナルのプリントアイテムはファンを魅了し続けている。なかでも西洋菊の一種、クリザンテームは、ソフィーさんが蚤の市で見つけたヴィンテージのクッションカバーからインスパイアされたことは有名な話。一方猫のモチーフについては、幼い頃から動物好きだったソフィーさんが、仕事での撮影中、モデル猫だったジプシーに一目惚れし、そのまま連れて帰ったことから生まれたデザインだ。その後、ヌネットが家族の一員として加わり、今やこの二匹、「PAUL & JOE」のファンはもちろん、世界中の猫好きからも注目を集める存在だ。なぜ猫のモチーフをコレクションに落とし込もうと思ったのだろうか。「幼い頃から動物は大好きだったのだけれど、猫は凛とした美しさを持ちつつも、自立しているところが魅力的だと思うの。気ままで自分の心に正直で変に媚を売ったりもしない。甘えてこないと思ったら急に寄ってきたりと意外性があって、そこが愛おしいと思うし一緒にいてまったく飽きないんです。正直、私にも猫っぽい性格があると思います(笑)。コレクションに頻繁に取り入れたくなるほど影響を受けていますし、私にとって猫という存在は非常に大きくて大切なのです」。そんな自分の大切な家族でもある猫たちへの「愛」を感じるデザインだからこそ、常に人気を誇る柄としてPAUL & JOEファンのハートを掴んでやまないのだろう。
そもそもソフィーさんはなぜファッションの世界へ導かれ、ブランドを立ち上げるに至ったのか。そのきっかけについて「必然的なことだったと思います。両親が立ち上げた「Le Garage」のデザインを手掛けていた母親は、幼い頃からどこへ行くにも私を一緒に連れて行ってくれました。学校が休暇になれば、柄を確認する為にイタリアのプリント工場に連れて行かれ、刺繍の仕上がりを見る為にスイスの刺繍工場へ一緒に足を運んだりもしていました。そういう仕事の現場を肌で感じてきたことが今の自分のベースになっていると思います。それだけでなく、映画やアートの展示会、蚤の市、アンティークオークション、それから素敵なブティックにもよく連れて行ってくれました。母との関係は特別で、自立していてカッコよくて、仕事を真剣にこなすだけでなく、何より“楽しんでいる母親"を常に隣で見てきて、本当に尊敬していました。幼い頃からたくさんの美しいものに触れさせてくれたことが自分の考え方や仕事との向き合い方にもつながっていると思います」
ソフィーさんは大学卒業後、アズディン・アライアのもとで経験を積んだ後、「Le Garage」にて片腕として働き始める。ブランドは順調そのものだったが、体調を崩したソフィーさんの母親はブランドの閉鎖を決断。そんななか、ソフィーさんは自分に何ができるのかと考え、新しくブランドを立ち上げることを決めた。その時長男は1歳、さらにお腹の中には第二子を妊娠中だった。「若くエネルギーに溢れ、やりたいことも色々とこれからだったので迷いはありませんでした。人生に大事なことは、そこに喜びがあること。そしてその喜びに気づき、徹底的に楽しむということ。 それさえあれば、どんなに困難なことも乗り切れると思います。仕事に子育てに真剣に向き合っていたから、実際立ち止まっている暇なんてなかったわ」。
ブランドの立ち上げから25年。毎シーズンコレクションを発表しブランドを成長させ続けたファッションデザイナー/経営者として、そして母親として、社会における女性の地位や役割の変化を肌で感じてきた。「現代は女性が本当の意味で一人の人間として自立できる時代になりました。社会において自己の能力を発揮したり、自身の考えを表現する機会が増えています。そんな若い人々に向け、母が私にとって理想的なロールモデルであり、社会で活躍するための勇気をもらったように、『PAUL & JOE』の服を身に纏うことで、少しでも一歩前に進む勇気を与えられたら嬉しいですね」。ポジティブでエネルギーにあふれる言葉は、ブランドメッセージとして「PAUL & JOE」のデザインに反映される。
「PAUL & JOE」のこだわりが詰まったコラボレーション。
「PAUL &JOE」は日本にも多くのファンを擁するが、ソフィーさん自身も大の日本好きだという。インタビューの冒頭でも、開口一番日本への愛を語ってくれた。「ユニクロを初めて知ったのもちょうど来日中に東京を訪れていた時。約15年前だったかしら。カシミヤニットのカラーバリエーションと品質、そして価格に驚いたわ。素晴らしいデザイナーたちとのコラボレーションにもずっと注目してきました」。そう話す彼女がデザインする「PAUL & JOE」とユニクロのコラボレーションがついに完成した。
3月26日から発売になるコラボレーションは、プリントTシャツだけにとどまらず、ドレス、ブラウス、スカートを含むフルコレクションとして登場する。「何よりも自分が大切にしたのは、『みんなに受け入れられる洋服を作りたい』ということ。その想いにユニクロも共感してくれたから、本当に良いものづくりが一緒にできたと思います」。シルエットや着丈、前あきの具合などといった、ミリ単位に及ぶディテールに、自身の美意識を注ぎ込むソフィーさんの姿勢に驚かされたというのは、ユニクロの開発チームの談。「密にコミュニケーションを取っていたから苦労した点はあまりなかったけれど、色のグラデーションにこだわったティアードスカートは、何度もサンプルの色味をチェックして理想のグラデーションに仕上げたこだわりのアイテムの一つね」
最後にできあがったコレクションを手にこんなことを語ってくれた。「このコレクションを着ることで、春の陽気の中で心地よさや軽やかさを感じてほしいですし、自分がハッピーになるだけでなく、周りの人に良いねと言ってもらえるコレクションになれたらと思います。そのことが着る人の自信になり、幸せにつながると思うから。親子のリンクコーディネートのシルエットは、家族の絆が深まってほしいと願いから作り上げたもの。私も母親との絆が強かったように、お揃いの服や柄を着ることで共にハッピーな気持ちを共有し、体感してもらえたら嬉しいです」
PROFILE
ソフィー・メシャリー|フランス、パリ生まれ。パリ大学で経済経営学をInstitute France de la Mode で技術を学び、アズディン・アライアのもとで経験を積む。その後、両親が経営するパリのシャツメーカー「LE GARAGE(ル・ガラージュ)」に加わり、 26歳で専任のデザイナーに就任。1995年、2人の息子の名前を冠した 「PAUL & JOE」をメンズコレクションからスタート。翌年レディースコレクション を立ち上げる。ソフィー・メシャリーが提案するコレクションは楽しさに溢れ、 デザインのいたるところに“JOIE DE VIVRE(生きていることの喜び)”が散りばめられている。
ALL PAUL & JOE PRINTS ARE COPYRIGHTED
※店舗ごとに在庫状況が異なりますので、予めご了承ください。
※UTの全ての商品ラインナップが揃う店舗は、「オンラインストア」と下記の「UTフルラインナップ店舗」です。
原宿店、ユニクロ TOKYO、ユニクロ PARK 横浜ベイサイド店、銀座店、ビックロ ユニクロ 新宿東口店、渋谷道玄坂店、御徒町店、池袋サンシャイン60通り店、世田谷千歳台店、吉祥寺店、札幌エスタ店、名古屋店、京都河原町店、心斎橋店、OSAKA店、あべのキューズモール店、イオンモール沖縄ライカム店