ウルトラマン
2021.04.15

登場55周年を迎える「ウルトラマンシリーズ」とのコラボレーション!スーツアクターに聞く制作現場の秘話。

ウルトラマン

1966年に誕生した空想特撮シリーズ『ウルトラQ』『ウルトラマン』は、55年の長きにわたって日本の特撮業界を牽引してきた名作だ。子供たちが熱狂し、大人も涙するエンターテインメントの裏には、特撮を愛する職業人たちの、溢れんばかりの愛情があった。第二弾は初代「ウルトラマン」スーツアクターを務めた古谷敏さんのインタビューをお届けする。

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ヒーローは強いだけではいけない。ウルトラマンは背中で語る。

怪獣たちが従来の怪獣像を大きく塗り替えたように、主人公であるウルトラマンもまた、新たなヒーロー像を形作った稀有な存在だ。「ウルトラマンは自分から攻撃をしないんです。相手が向かってきて初めて、受けるか避けるかを考える。それが、僕がウルトラマンを演じる上で決めた心構えでした」。そう語るのは、初代ウルトラマンのスーツアクターを務めた古谷敏さん。映画俳優を志して東宝芸能学校に通い、新人オーディションの登竜門だった東宝ニューフェイスに合格。東宝撮影所の“大部屋俳優”として、様々な映画に出演していたとき、「『ウルトラQ』に出ないか」と声をかけられた。

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颯爽と現れた古谷さん(愛称ビンちゃん)は、当時と変わらぬウルトラマン体型。あらゆる動きは監督達と相談し、撮影現場で考えた。「武器を持たないかわりに伝家の宝刀を作ろうと。当時プロレスラーの力道山が人気でね、彼の空手チョップをヒントに生まれたのがスペシウム光線です」。カラータイマーが隠れないよう細かな微調整も行ったそう。

「着ぐるみは顔が出ないから嫌でしたけど、どこかから僕の寸法を聞いて、もうスーツを作っちゃったんだと。断りきれずに仕方なく出演しました」。古谷さんが扮したケムール人は、美術総監督の成田亨さん渾身の宇宙人だ。顔のパーツをバラバラに配しながら身体は正面を向く異形の姿は、エジプト壁画の技法を取り入れたもの。この“2020年から来た宇宙人”を表現するにはスラリと長い脚が必要で、181cmで8頭身の古谷さんに白羽の矢が立ったのだという。

「暑いし辛いし、着ぐるみはもう勘弁、と思っていました。そうしたら次回作の主人公を演じてほしいと。僕のケムール人がよかったらしく、成田さんに『ビンちゃんじゃなきゃダメだ!』って強く推されて」。こうして古谷さんはウルトラマンの主演に大抜擢された。『ウルトラQ』の熱気に後押しされ、初回放送の視聴率は34.4%を記録。子供たちはスレンダーで一言も喋らないクールなヒーローに夢中になった。「最初の頃は辛かったです。スーツに入ると息が苦しいし、汗をびっしょりかくし、身体が締め付けられて何も食べられない。もう辞めようと決意したある日、撮影所に向かうバスの中で子供たちが嬉しそうにウルトラマンの話をしているのを見たんです。僕がいなくなったらこの子たちが悲しむなと。そこで決心がつきました」

葛藤を経てウルトラマンと向き合うなかで、古谷さんにはある矜持が生まれた。それが前述の“ウルトラマンは自分から攻撃をしない”という思いだ。彼は怪獣を追って地球に来て、思いがけない事故で地球にとどまることになった宇宙人。怪獣のことだってやっつけたいなんて思っていないし、戦うことなく帰ってくれと思っているんです。追い詰められてスペシウム光線を出すこともあるけれど、ファイティングポーズはとらない。それがウルトラマンなんです」。だからウルトラマンは怪獣と対峙するとき、そっと背中を丸める。哀愁が漂う姿勢は、敬愛するジェームズ・ディーンが『理由なき反抗』の中で見せた姿から拝借したものだそうだ。ファイターではなく、か弱い青年の姿を模したのが、映画人の古谷さんらしい。

「ヒーローは強いだけじゃダメなんです。『頑張ってー!』と子供が応援したくなる弱さがないと。ウルトラマンは、優しさや哀愁を詰め込んだ力作なんです」。作り手の努力と研鑽が何層にも積み重なり、壮大なサーガを育んできた『ウルトラマン』。時代を越えて愛され続ける理由がわかった気がした。

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『ウルトラマン』の世界をもう少し知りたい人は「ウルトラマン55周年記念PV」もどうぞ。

PROFILE

ウルトラマン|1966年に円谷プロダクションが制作した特撮ドラマ。『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』などの続編やアニメ展開を経て、’90年代には『ティガ』『ダイナ』『ガイア』の三部作が話題に。最新作は『ウルトラマンZ』。現在はウルトラマンゼットの活躍を振り返ることができる『ウルトラマンクロニクル ヒーローズオデッセイ』(テレビ東京)が放送中。

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