Worker Wellbeing and Beyond, Indonesia

企業の枠を超え、働く人と働く権利を守る|インドネシア

FRは国際労働機関(ILO)と共に、アジア地域で労働者の環境を向上させる取り組みを続けています。2019年にパートナーシップを結び、
インドネシアにおける公的雇用保険制度の整備や、FRが生産拠点を置く国で社会保障制度の比較調査などを実施。
これまでの取り組みと今後の展望をILOインドネシア・東ティモール国別事務所長の宮本三知子氏に伺いました。

企業の枠を超え、働く人と働く権利を守る|インドネシア
企業の枠を超え、働く人と働く権利を守る|インドネシア

2021年12月に、ジャカルタで開催された求職者向けイベント(写真左)。2020年3月に、ILOとインドネシア労働省が共同主催したアジア5カ国の雇用保険制度を研究する国際会合(写真右)。

ILOインドネシア・東ティモール国別事務所長 | 宮本三知子

FRとILOが実現した画期的な労働者支援

ILOインドネシア・東ティモール国別事務所長 | 宮本三知子

ILO

インドネシアでは2022年から雇用保険制度が始まります。背景には、FRとILOのパートナーシップ事業の貢献があります。FRは、ILOが行う社会保障事業に民間企業として最大規模となる累計で約1億9,000万円を拠出。FRは社会への企業責任として、製品に関わるサプライチェーンで働く人の人権を尊重し、労働安全衛生の確保に努めていますが、今回の試みは、自社が関連する取引先や縫製産業に属さない労働者へも支援を拡大するもので、民間企業としては先駆的な試みと言えます。ILOとの共同事業を通じてFRは、社会保障制度の発展に向けた技術協力を行い、インドネシアの全ての労働者の労働環境の改善に貢献しました。この功績は非常に大きく、新たなリーダーシップを示したと言えます。
日本のように手厚い雇用保険制度を備える国はアジアにおいてまだ少なく、インドネシアでも失業者の所得保障は深刻な社会問題でした。コロナ禍で失業問題が顕在化した今、雇用保険が導入されることは労働者にとって大きな助けになります。制度が施行されると、倒産・解雇などの会社都合で職を失った労働者は、失業期間中に最大6カ月間、給付金を受け取れます。加えて、再就職支援のための技能訓練や就職先紹介も行われます。労働問題や社会保障に取り組む際、政府・労働者・企業の意見を反映し、よりサステナブルで効果的な解決方法を見つけることが大切です。この三者間による協議(ソーシャル・ダイアローグ)をILOは重視し、今回の雇用保険について協議する際も実施しました。このインドネシアでの成果により、ILOは雇用保険制度の拡充を目指す他のアジア諸国から共同事業・技術協力の要請を受けています。FRが示したリーダーシップや先駆的な事例は、世界中の労働者が「働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)」に就くことができる環境整備へ向け、民間企業が果たし得る役割を示したと思います。

ILOインドネシア・東ティモール国別事務所長 | 宮本三知子

サプライチェーンにおける
人権・労働環境尊重の取り組み

FRは、サプライチェーン全体で人権が尊重され、適正な労働環境のもと生産が行われるよう、さまざまな取り組みを推進しています。
ここではその一部をご紹介します。

  • 01

    「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」遵守の徹底

    労働環境や人権を守るため「生産パートナー向けのコードオブコンダクト(CoC)」を2004年に制定。児童労働や強制労働、
    ハラスメントの禁止や、労働時間の基準などを定め、適宜改訂も行っています。CoCは国際基準に沿うため、
    地域によって法令の要求水準を超えることもありますが、遵守を誓約するパートナーのみと契約しています。

    労働環境や人権を守るため「生産パートナー向けのコードオブコンダクト(CoC)」を2004年に制定。児童労働や強制労働、
    ハラスメントの禁止や、労働時間の基準などを定め、適宜改訂も行っています。CoCは国際基準に沿うため、
    地域によって法令の要求水準を超えることもありますが、遵守を誓約するパートナーのみと契約しています。

  • 02

    生産パートナーの労働環境モニタリング

    • CoCに基づき、労働環境モニタリングを通じて、縫製工場、外注先工場、素材工場などの遵守状況を確認。
      モニタリングの結果に応じて工場の労働環境を評価し、リスクの深刻度に応じた改善活動を工場に要請しています。
    • 工場従業員が匿名かつ現地語でFRに直接相談できるホットラインを設置。ハラスメント防止、児童労働の防止、移住労働者の搾取の防止、賃金と福利厚生の遵守など、人権侵害を未然に防ぐ取り組みも実施しています。
    • サプライチェーン全体で人権リスクの発生を未然に防ぐため、デューディリジェンスを実施するとともに、
      原材料調達の最上流までトレーサビリティを追求。労働環境を確認していきます。
    • CoCに基づき、労働環境モニタリングを通じて、縫製工場、外注先工場、素材工場などの遵守状況を確認。
      モニタリングの結果に応じて工場の労働環境を評価し、リスクの深刻度に応じた改善活動を工場に要請しています。
    • 工場従業員が匿名かつ現地語でFRに直接相談できるホットラインを設置。ハラスメント防止、児童労働の防止、移住労働者の搾取の防止、賃金と福利厚生の遵守など、人権侵害を未然に防ぐ取り組みも実施しています。
    • サプライチェーン全体で人権リスクの発生を未然に防ぐため、デューディリジェンスを実施するとともに、
      原材料調達の最上流までトレーサビリティを追求。労働環境を確認していきます。
  • 03

    責任ある調達の推進

    FRが定期的に生産計画の進捗管理や取引先工場のキャパシティの確認を行い、適切な手順で発注することが、
    取引先工場の適正な生産活動につながり、賃金や労働時間を含む労働条件の改善を促進できると考えています。
    適切な発注に関するガイドラインを策定し、生産部などの調達関連部門の従業員に対して、トレーニングを実施しています。

    FRが定期的に生産計画の進捗管理や取引先工場のキャパシティの確認を行い、適切な手順で発注することが、取引先工場の適正な生産活動につながり、賃金や労働時間を含む労働条件の改善を促進できると考えています。
    適切な発注に関するガイドラインを策定し、生産部などの調達関連部門の従業員に対して、トレーニングを実施しています。

  • 04

    主要な生産パートナーリストの開示

    サプライチェーン全体の透明性を高め、適正な労働環境を実現するために、2017年から主要な生産パートナーのリストを公開。
    毎年更新しています。直接の取引先である縫製工場については、
    2022年3月を目標に、継続して取引のある全工場の開示に向けて準備を進めています。
    また、縫製工場以外への開示範囲の拡大にも取り組んでいます。

    サプライチェーン全体の透明性を高め、適正な労働環境を実現するために、2017年から主要な生産パートナーのリストを公開。
    毎年更新しています。直接の取引先である縫製工場については、2022年3月を目標に、継続して取引のある全工場の開示に向けて準備を進めています。
    また、縫製工場以外への開示範囲の拡大にも取り組んでいます。

  • 05

    外部業界団体との連携、NGOや労働組合との対話

    サプライチェーン全体の透明性を高め、適正な労働環境を実現するために、2017年から主要な生産パートナーのリストを公開。
    毎年更新しています。直接の取引先である縫製工場については、
    2022年3月を目標に、継続して取引のある全工場の開示に向けて準備を進めています。
    また、縫製工場以外への開示範囲の拡大にも取り組んでいます。

    サプライチェーン全体の透明性を高め、適正な労働環境を実現するために、2017年から主要な生産パートナーのリストを公開。
    毎年更新しています。直接の取引先である縫製工場については、2022年3月を目標に、継続して取引のある全工場の開示に向けて準備を進めています。
    また、縫製工場以外への開示範囲の拡大にも取り組んでいます。