2005年07月04日
Simple Questions「そもそもユニクロって?」(1) ~「考える人」2005年夏号〜
~「考える人」2005年夏号(新潮社)より転載~
行ったことがなければもちろんですが、何度か行ったことがあったとしても「知らなかった!」ということは案外あるものです。
知っていたらもう少し気楽に、無駄なく、賢く、
ユニクロを使いこなせるかもしれない。
編集部がぶつける素朴な疑問に、ユニクロが答えます。
Q 友だちが『ユニクロのタオルがすごい』と絶賛するので最寄の店にいってみたら売っていませんでした。どうしてですか?
A タオルはユニクロのインターネット通販のみの扱いで販売しています。(註1)
タオルだからこそ、ユニクロの強みが生かせます。
タオルを新しく開発することになったのは、「世の中にはシンプルなタオルがありそうでなかなか見つからない。ぜひタオルを作ってほしい」というお客様のご要望が多数寄せられたからです。ご好評をいただいているユニクロのベビー用衣料品も「シンプルなベビー服がないから作ってほしい」というお客様の声から開発が始まったものでした。
お客様がどんな商品をお望みなのか、私たちはいつも耳をそばだてています。カスタマーセンターなどに寄せられる新商品開発のご要望を様々な角度から研究し、実現可能かどうかを検討しています。もちろん、ご要望をいただいたものを何から何まで作ることができるわけではありません。しかし、お客様の声には、ユニクロの商品の特徴や強みをご理解いただいた上での提案も少なくありません。
衣料を作るのが私たちのメインの仕事です。衣料とは肌に触れるもの。着心地が良くなければ、良い商品とはいえません。ですから、たとえば高品質の綿の開発や仕入れが大切になってくるのです。肌触りや通気性を考え、しかも適正な価格でご提供できるかどうか。これが私たちの「素材力」ですね。
もうひとつは「技術力」。私たちがお届けしているのはカジュアルウエアです。つまり毎日のように洗濯機にかけられたとしても、劣化しにくい商品を作らなければなりません。そのための経験と技術の蓄積が私たちにはあります。これが「技術力」。
タオルは、からだ全体に触れるものです。繰り返し洗濯もします。つまり私たちの「素材力」「技術力」を存分に発揮できる商品だということになります。そしてもうひとつ、「デザイン力」もあります。
タオルってシンプルなものが意外に少ないんですね。ブランドのロゴとかタグがついていたり、刺繍で縁取りしてあったり、派手な柄がついていたり。からだを気持ち良くふくというタオル本来の機能を果たすことより、見てくれのための余計な装飾が多いのではないか。お客様がタオルの現状に満足できないことにはやはり理由や背景があると思うのです。
バスタオルって何かのお祝やお返しで送られてくることが多くありませんか? 箱入りで届いたバスタオルを、何となく気に入らないまま、さりとて捨てるわけにもいかず、使っていらっしゃる方が案外多いのではないでしょうか。
私たちのカジュアルウエアの根底にある考え方は、ベーシックということです。繰り返し着ても飽きのこないデザイン。カジュアルウエアの大切なポイントと、タオルのあるべきデザインの姿は、共通していると思います。つまり私たちの「デザイン力」はタオルを作る場合にも存分に発揮できるというわけです。
シンプルでプレーンなデザインは、目先のごまかしがききません。シンプルであるからこそ「素材力」と「技術力」が問われる、とも言えるのです。
タオルの開発には時間をかけました。
どういうタオルが望まれているのか。漠然とはイメージできますが、イメージだけでは商品は作れません。実際にどんなタオルが望ましいのかを、お客様に直接うかがう「グループインタビュー」を行いました。そこから出てきたキーワードは「海外の高級ホテルのタオルのようなもの」でした。具体的に言えば、「肌触りのやわらかさ」「ふかふか感」「ボリューム感」。
それぞれの要素を満たすために、素材にはこだわって、質の高い手摘み綿を選びました。肌触りは生地のパイルの長さによって微妙に変化します。パイルの長さをどの程度にすればよいかは、実際に製品を作って、試してみなければわかりません。試作品を作っては、モニターの方に一週間、二週間と実際に使ってもらいました。もちろん洗濯もしていただきます。その上で使ってみた感想やご意見をうかがって、さらに改善すべきは改善し、また試作品を作るということを繰り返しました。
その結果、完成したのが「ホテル仕様」のバスタオル、ハンドタオル、フェイスタオルなのです。
インターネットでの販売になっている理由は?
タオルのカラーバリエーションは全部で各二〇色をご用意しています。バスタオルの大きさは七〇×一三〇センチ。ポロシャツやジーンズと違って、ふかふかのタオルなので、折り畳めばカサが出てしまいます。これをユニクロのショップの棚に色ごとに並べるとなると、かなりのスペースが必要になってきます。大型店であっても、すべてのバリエーションを品揃えするのは物理的になかなか難しい。
インターネットで販売を始めたものはタオルばかりではありません。「超高密度シーツ/カバー」「ドライシーツ/カバー」「タオルケット/ベッドパッド」……「ホーム・ファブリック」と呼ばれる寝具類を豊富に取り揃えて、タオルの販売と同時にスタートしました。これだけの商品を色柄をすべて取り揃えてショップに並べるとなれば、ユニクロの店の多くのスペースを取ることになってしまいます。
私たちの調査によれば、「ホーム・ファブリック」の業界自体が、店頭での販売よりも、通販やインターネットでの販売が占める割合が高くなっているのです。販売する際に場所をとるということは、すなわちお客様がお持ち帰りになる際もかさばってしまう可能性があるということでもあります。また、一度お試しいただき、ご満足を得られれば、次からは在庫の状況が一目でわかるインターネットのほうが買いやすくて便利、ということもあります。実際に、タオルの次には「超高密度シーツ」をオーダーされるお客様がかなりいらっしゃいます。
肌に直接触れるタオルですから、実際の手触りを確かめてご購入されたい、と思われるのは当然です。現状では一部の店舗以外ではご覧いただけませんが、ホームページで、タオルの生地の拡大画像や、プロの方々の使用後の感想など、ご判断いただくためのインフォメーションをいろいろとご用意しています。ぜひ一度、ホームページをチェックしてみてください。インターネットも携帯もお使いにならない場合は、お電話でもご注文を承ります。
Q ユニクロの社名「ファーストリテイリング」ってどういう意味ですか?「ユニクロ」は?
A ファーストは「早い」。リテイリングは「小売り」。この言葉を組み合わせた造語です。お客様が望まれる商品やサービスをなるべく早くお手元に届けるという小社の基本理念から来ている名前です。「ユニクロ」は小社が広島市で始めた最初の店の名前、「uniqueclothingwarehouse」(ユニークな衣料品の倉庫)の略語から作った造語です。
それでは何故「UNICLO」ではなく、「UNIQLO」の表記になったのか。実は海外で社名を登記する際に、現地の担当者が間違って「UNIQLO」と書いてしまったのです。「Q」のほうがデザインとしても格好いいのではないか、と判断して、私たちはそれ以来「UNIQLO」と表記するようになりました。
最初の店を、warehouse=倉庫と称したのは、お客様が気楽に店に入って、店員に煩わされることなく、じっくり自分で選ぶことができる売り方のスタイル、「ヘルプ・ユアセルフ」方式を「倉庫」のイメージで象徴したのです。「ヘルプ・ユアセルフ」の考え方はいまも私たちの基本理念です。
Q お店にあれだけたくさんの商品が整然と積み上げられて、陳列されているのは何故ですか?
A 店員に「このシャツのMサイズはありますか?」とお客様がいちいち訊ねないでも済むように、なるべくお店にある在庫を店の棚に出して、直接見ていただけるようにしました。自分で気に入った商品の、自分のサイズを選んで、買い物カゴに入れて買っていただく「ヘルプ・ユアセルフ」を具体化したものです。
Q ユニクロの服はサイズが揃っていると聞きましたが、ショップに行ってみたら一番大きいサイズがXL、一番小さいサイズがSしかないようでした。大柄の人や小柄な人にはサイズの用意がないのでしょうか?
A XXLサイズとXSサイズは、インターネットの「特別サイズ商品」のサイトでご用意しています。
サイズを用意すればするほど買えなくなるお客様が出る矛盾。
Tシャツやフリースで、以前はXXLやXXXLをご用意していたことがあります。特別なサイズについては、ご利用になるお客様の割合を想定して在庫を揃えますが、S、M、Lサイズよりも絶対量は少なくなります。そうすると二つの問題が同時に起こりました。特別なサイズをお求めの方がご来店になったとき、絶対数との関係で店によっては在庫がないケースが増えてしまったのです。
私たちが一番避けなければならないのは、お客様がご来店になったときに、お求めになろうとしていた商品がお店にないことです。「売り切れ」を人気の証しとする考え方を私たちはとりません。それは、わざわざご来店くださったお客様に申し訳ないことであり、商品の計画が甘かったということでもあり、恥ずかしい事態だと考えます。「売り切って成功した」とは考えません。品切れを私たちは「欠品」と呼んでいます。
そのサイズがあるという前提でわざわざご来店くださったのに、買うことができない事態が起こる。また反対に、店によっては、特別なサイズを用意した分だけ、S、M、Lサイズが不足してしまうというケースも出始めてしまいました。
その事態を踏まえて、特別サイズの商品については、インターネットをご利用いただけるお客様という前提ではありますが、確実にお手元に届く方法での販売に切り替えることにしました。
現在、ユニクロのホームページのなかの「特別サイズ商品」でご用意しているのは、四つのカテゴリーです。「大きめサイズ=XXL」、「小さめサイズ=XS」、「大きめキッズサイズ=一六〇センチ」、「ウエストのゆったりサイズ=メンズの一一〇センチ&ウィメンズの七六・七九センチ」となっています。
現状では、以前のショップでの販売と較べて、「特別サイズ」の販売については、欠品の苦情も少なく、お求めのお客様に確実にお届けできるようになったという手応えがあります。
ユニクロの通信販売は、携帯からのアクセスでもご購入いただけますし、在庫がその場で確認できること、「オックスフォードシャツを五枚まとめて買えば安くなる」といった特典をご用意したこと、浴衣のように店よりも早い先行販売をする場合もあり、インターネットでのご購入にお買得感が出るようなサービスも心がけています。一度ぜひ、ユニクロのホームページをお訪ねください。
Q ユニクロは、年間でどれぐらいの数の服を売っているのですか?
A たとえば代表的な商品のジーンズでご説明しましょう。一年間に主要ジーンズ・メーカー十一社で生産しているジーンズの本数はだいたい六五〇〇万~六六〇〇万本です(これにはユニクロの数は含まれていません)。そして、ユニクロのジーンズの一年間での販売量は約一千万本。つまり、他の十一社の合計の六分の一の本数が、お客様の支持をいただいている、ということになります。
日常生活=ベーシックのクオリティを高めてきたユニクロが、今度注目したのは、シーツ類やタオル。毎日の生活の中で必ず肌に触れるアイテムをユニクロらしい視点で作りました。厳選した素材の肌触り、高密度の滑らかな質感による快適さ。追求したのは「ここち良さ」です。自分らしいコーディネートができるカラーバリエーションも揃えました。まるで、ユニクロの服を楽しむ感覚で家の中での日常生活をクオリティアップします。商品はインターネット店およびお電話でお買い求めいただけます(0120-170-296)。
註1:ユニクロ心斎橋筋店、五反田TOC店、新宿三丁目店でご購入が可能です。
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「考える人」2005年夏号
(文/取材:新潮社編集部、撮影:三原久明)
詳しくは、新潮社のホームページをご覧下さい。