Edinburgh:
Old City,
New Style

石畳、旧市街、城、歴史ある大学。クラシックな景観のすぐそばには、インディペンデントなショップ、そしてスコットランド初となる、ユニクロの店。今季、コレクションの着想源のひとつになったエディンバラの街と、そこに暮らす人々が着こなす秋のLifeWear。

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Katie Lambertケイティ・ランバート

Owner, The Coffee Cabinet

今、エディンバラで最もホットなエリアのひとつ、ストックブリッジ。古き良き建物と石畳が続く閑静な街並みに、さまざまなローカル・ショップが立ち並ぶ。地元の老舗チーズショップ「I. J. Mellis」の前を歩くケイティは、街の東にこの4月にオープンしたばかりのコーヒーショップ「The Coffee Cabinet」の若きオーナー。ダブルフェイスのシャツジャケットが朝日を受けて輝く、グレーベージュの風景にマッチしていた。
今、エディンバラで最もホットなエリアのひとつ、ストックブリッジ。古き良き建物と石畳が続く閑静な街並みに、さまざまなローカル・ショップが立ち並ぶ。地元の老舗チーズショップ「I. J. Mellis」の前を歩くケイティは、街の東にこの4月にオープンしたばかりのコーヒーショップ「The Coffee Cabinet」の若きオーナー。ダブルフェイスのシャツジャケットが朝日を受けて輝く、グレーベージュの風景にマッチしていた。
The Coffee Cabinet49 Broughton St, Edinburgh

Finnan McLeanフィナン・マクリーン

Founder, Spaceboy Coffee

街の中心からやや東、街を一望できるアーサーズ・シートを擁する公園、ホリールード・パーク。そのはずれにある元醸造所の建屋には、スモールビジネスを営む人々が集まっている。ユニクロのスウェットが仕事着だと語るフィナンが営む小さなコーヒー焙煎所もその一角にあった。「Spaceboy Coffeeは、自転車のチェーンなど、身の回りにある物で作った小さな焙煎機から始まったんだ」と言うのが、今のエディンバラらしいエピソード。

Darren Wilkieダレン・ウィルキー

Founder, flam Homewares

役目を終えたドラムからユニークなアイテムを作る家具ブランド〈flam〉のファウンダーであり、新進のアーティスト達に手頃な価格でスタジオを提供する「Nook & Cranny Studios」の発起人でもあるダレン。コーデュロイの襟をあしらった、ブリティッシュなジャケットを着こなし歩くのは、ストックブリッジの西にあるディーン・ヴィレッジの橋の上。800年以上の歴史を持つ、絵画のような美しい住宅街が広がるエリア。
役目を終えたドラムからユニークなアイテムを作る家具ブランド〈flam〉のファウンダーであり、新進のアーティスト達に手頃な価格でスタジオを提供する「Nook & Cranny Studios」の発起人でもあるダレン。コーデュロイの襟をあしらった、ブリティッシュなジャケットを着こなし歩くのは、ストックブリッジの西にあるディーン・ヴィレッジの橋の上。800年以上の歴史を持つ、絵画のような美しい住宅街が広がるエリア。

Hugo Macdonald & James Stevensヒューゴ・マクドナルド&ジェームス・スティーブンス

Co-founders, Bard

「私たちはスコティッシュ・クラフトのストーリーテラーでありたい」と語るのは、ブラウンのシャツジャケットが似合うヒューゴ。ミラノリブのカーディガンを羽織った、彼のパートナーであり建築家のジェームスと、ギャラリー「Bard」を北側の港町・リースに2年前にオープンさせた。ジェームスが内装を手掛けた店内には、ふたりがスコットランド中を旅して見つけた、ローカル作家の作品が集まる。
Bard1 Customs Wharf Leith, Edinburgh

Rita Garciaリタ・ガルシア

Student

1583年設立、英国で最も歴史ある学校のひとつであり、世界中から優秀な学生が集うエディンバラ大学。スペインのマドリード出身のリタはバスケットボール部の部長を務めながら、心理学を学ぶ4年生。街に点在する校舎には歴史的な建築も多くあり、こちらはメディカルスクールのクラシックな建物。「私の母も大のお気に入り」と語るウルトラライトダウンは、夏季でも1日の気温差が大きいエディンバラの暮らしにぴったりな一着。

Grace Dempseyグレース・デンプシー

Musician, Model, Youth Worker

地元のバンド「Grace & the Flat Boys」のボーカリストとして週数回のギグをしながら、モデルや、子供たちの成長を支援するユースワーカーとしても働き、マルチに活動するグレース。「すごく伸びて動きやすい!」と驚いていた新作のエクストラコンフォートスキニージーンズで歩いたのは、上で紹介の「Bard」の前を流れるウォーター・オブ・リースのほとり。
上の「Golden Hare Books」は、今年オープンした「ユニクロ プリンセスストリート店」の書籍コーナーのキュレーションをしてくれた、ストックブリッジの書店。
Golden Hare Books68 St Stephen St, Edinburgh

Sarah Walkerサラ・ウォーカー

Florist, Co-founder of Ochre

地元に暮らす6人のフローリストが2020年に立ち上げたボタニカルスタジオ「Ochre」。その設立メンバーのひとりであるサラが案内してくれたのは、彼女の仕事場のひとつであり、街の北西部にある共同運営のガーデン。ここで育てた花を使い、結婚式からローカルのショップのショーウィンドウの装飾までを広く手掛ける。シックなブルゾンを新作のワイドトラウザージーンズに合わせ、モダンなワークスタイルを着こなした。

Cameron Angusキャメロン・アンガス

Graphic Designer, Assai Records Staff

エディンバラで生まれ育ったキャメロンは、地元のネーピア大学でデザインを学び、グラフィックデザイナーとして独立した。白いウィンドプルーフブルゾンを羽織って出てきたのは、もうひとつの職場であるレコード店「アッサイ・レコーズ」。街のシンボル、エディンバラ城のすぐ南に位置する。「文化的にリッチな街だと思う」と語る彼の言葉通り、古い街の中で次々に生まれる新しいインディペンデントな動きにこそ、この街の今らしい豊かさが詰まっているのかもしれない。
Assai Records1 Grindlay St, Edinburgh

Life in Edinburgh

人々を魅了する天気と光

Text by Hugo Macdonald

悪天候の多い旅先でよく言われる言葉がある。「悪天候というものはない。ただ服装が間違っているだけなのだ」。エディンバラもそんな場所のひとつだ。そして、ストイックでロマンチックな住民である私たちは、その天候がもたらす筋書きのひねりやロール、パンチに夢中になっている。この地を訪ねる人は「1日のうちに4つの季節があるのかい?」と果敢に問いかけるが、私たちは「1時間ごとに違う季節がやってくるよ」と答える。どんな事態にも対応できるように、一枚多く着込んでおくんだよ、と。

エディンバラで生活していると、都市生活の4つ目の次元である風雨を乗り切る術をすぐに学ぶことができる。その結果、私たちは豊富なワードローブを持っていて、ユニクロが街にできたことは興奮と安堵の中で受け入れられた。夏の日はたいてい、霧に包まれて始まる。フォース湾からやってくる霧で、私たちが「The Haar(海霧)」と呼んでいるものだ。8月に冬用コートに身を包んだ通勤客を見かけることも珍しくない。でもみんなが職場に着くときにはその「The Haar」がすっかり吹き飛ぶ、というのがエディンバラの天気の神様のユーモアなのだ。肌寒い雲が蒸発すると、気温は数分のうちに10度も上昇する。エディンバラのローカルたちは、こんな劇のような状況に対応するため、厚着し、それをどんどん脱いでいく。家、オフィス、公共スペースなど、私たちが過ごす場所のいたるところに服が置いたままになる。そのため、私たちのワードローブは行ったり来たり混ざり合い、ときにカルマのように、借りては返すという終わりのないゲームに巻き込まれている。サイズが合えばだが……。

この街の光は、住民や観光客を魅了してやまない。それは、フォース湾に挟まれ、7つの丘にまたがって広がる地形の複雑さ、そして北半球の緯度に起因する。彩度も温度も冷たい光だ。積乱雲を貫き、水面に跳ね返り、ミルキーなオーラを放ちながら街に降り注ぐ。そのことはエディンバラに不思議と映画のような雰囲気を与え、人々はまるでセットや舞台の上にいるかのように振る舞い、いつもクローズアップされる姿勢をとっている。そこで見られ、賞賛され、写真に撮られ、撮影されるために服を選んでいるのだ。

ストリートライフは活気にあふれている。8月いっぱいと、その4ヵ月後にはホグマネイ(大みそか)と新年を祝う、世界で最も有名な2つのフェスティバルがある。そして、人々が楽しみを分かち合おうとドアをノックしてこない時期は、私たちは思い思いに通りや庭、山や浜辺を楽しんでいる。パブやバーやレストランの外では、互いに自慢し合ったり、見せびらかしたり、着飾ってみたり。それに、エディンバラには至る所に美容室がある。良くも悪くも、私たちは身だしなみにとても気を使うし、季節ごとのイメチェンが大好きなのだ。

冬は全然日が出ないように感じたり、夏はずっと暗くならないように感じたり。ここにエディンバラの魅力がある。暗さと明るさ、古さと先進性、チャーミングさと生意気さ、騒々しさと優しさ。比較的小さな首都でありながら、世界の中で大きな存在感を示しているのは、雨の日も晴れの日も、あるいはその間のどんな天候であっても、私たちが人生を、ジャケットのラペルを正すかのようにつかみ、上手に楽しんでいるからなのだ。

Hugo Macdonaldヒューゴ・マクドナルド

co-founder of Bard

上で出演してくれたヒューゴはエディンバラに住んで3年目。デザイン評論家、キュレーター、コンサルタントとして活動しながら「Bard」を営む。以前は『Monocle』誌のデザイン・エディターを務め、『Wallpaper*』や『Apartamento』『Kinfolk』などの雑誌に寄稿も。

Illustration by Harper Ouk

  • Photography by Kohei Kawashima
  • Styling by Mitsuru Kurosawa
  • Hair & Makeup by Karen Shields
  • Coordination by Tatsuo Hino, Keita Hiraoka
  • Film by Amin Shaikh
  • Text by UNIQLO
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