「この地の伝統に根ざした建築に欠かせないのが、豊かな土。ほら見て、美しいでしょう？」

自然のままの土を両手ですくい上げ、キラキラした瞳で語るのは、ニューメキシコ出身のアーティスト、ジョアンナ。アドービ建築のワークショップを行う彼女が手掛けた建物で撮影中のひとコマだ。撮影には、友人のアイザックも参加。

「彼はサンタフェの歴史的建造物の修復を行っていて、職人的な知識は私より豊富なの」

今回の舞台は、ふたりのルーツであり、多くの芸術家を魅了してやまないニューメキシコの風景。ジョアンナにとって、この地の魅力とは。

「神々しいほどに広い空や雲、砂漠や山々の景色ね。ディネ族、プエブロ族、アパッチ族の先住民の伝統が、スペイン、インド・ヒスパーノ、メキシコの影響と混ざりあっていて、それぞれの土地の歴史や文化が複雑に重なっているところも、ユニークなところだと思う」

自然体で着こなしたリネンやコットン素材の風合いが、カラリとしたこの地の空気によく似合う。

「私自身、軽やかにフィットして、風が通る心地よい素材が好み。今回の服では黒のドレスとベージュのジャンプスーツが、特にお気に入り」